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デザインスプリントについてよくある質問集

   

はじめに

課題解決やサービス開発の手法として、ニューロマジックが以前よりご紹介しているデザインスプリント。画期的なこのフレームワークですが、デザイン思考との違い、現場で実施する方法について、なかなかイメージしづらい部分があるのも確かです。

そこで、今回のブログでは、3月24日に実施したデザインスプリント入門セミナーで、実際にいただいた質問にお答えします。

デザインスプリントについて耳にしたことがない、という方はぜひこちらの記事(「デザインスプリント入門ー今、話題のサービス開発法」)も併せてご覧ください。

目次

  1. ニューロマジックのデザインスプリントはパッケージ化されているのか、それともカスタマイズされているのか?
  2. ニューロマジックと一般的なコンサルティングとの違いは?
  3. 実際のデザインスプリントのプロセスの内容は?
  4. デザインスプリントの専門家以外が実施する場合のポイントは?
  5. デザインスプリントとデザイン思考の違いは?

1. ニューロマジックのデザインスプリントはパッケージ化されているのか、それともカスタマイズされているのか?

ニューロマジックでは、クライアントごとに完全にオーダーメイドのデザインスプリントを提供しています。こちらのページからもご覧いただけますように、ニューロマジックでは主流なデザインスプリント2種類の他にも独自のデザインスプリントを開発し、それぞれのクライアントに合わせた最適なプランを提案しています。

独自のデザインスプリントとしては、企業戦略デザインスプリントやマーケティングデザインスプリント など、課題解決のためだけでなく、ソリューションを企業戦略に落とし込むことを目的としたデザインスプリントも実施しています。

2. ニューロマジックと一般的なコンサルティングとの違いは?

コンサルティング会社では、一般的にある課題に関して調査を行い、クライアントに解決策を提案することがほとんどです。一方、ニューロマジックではデザインスプリントやその他のワークショップ手法を使うことで、クライアントと解決策を「共創」しています。

この「共創」のプロセスには状況に応じてクライアントのターゲットや顧客なども巻き込み、あらゆるステークホルダーの視点を取り入れられる点が特徴的です。また、関連するステークホルダーとともに共創することは、目的意識や方向性を一致させることができ、短時間で効果的な実装ができるほか、他の手段では成しえなかったチームワークを得ることができます。

3. 実際のデザインスプリントのプロセスの内容は?

何人かの方にお寄せいただいたのがこちらの質問。今回は実際のデザインスプリント事例を一つご紹介します。

まず、ニューロマジックが「プロダクトデザインスプリント」と呼んでいる手法の流れを紹介します。プロダクトデザインスプリントでは、1日目に状況を理解し、問題点を特定、2日目にアイデア出し、3日目に解決策を決定、4日目にプロトタイプ制作、5日目にユーザテストを実施、という流れで進みます。

細かいタイムラインが知りたい場合は、Google Venturesのサイト(英語のみ)を参考にしてみてください。このサイトでは、平日の5日間でデザインスプリントを実施する場合、どのアクティビティをいつするべきなのかを曜日ごとに示したチェックリストが紹介されています。

ニューロマジックではクライアントさまのご要望や、対処する課題によりオーダーメイドのデザインスプリントをご用意しているため、日数や実施内容が異なることも多くあります。

そこで、今回は東芝さまに提供したサービスデザインスプリントのプロセスを簡単にご紹介します。

*サービスデザインスプリントとは、Google Venturesが定めるデザインスプリントとは異なり、Liveworksの共同創設者Tenny Pinheiroによって開発されたデザインスプリントです。詳しくはこちらの記事( 「サービスデザインスプリントとは?デザインスプリント との違い」)で解説しています。

東芝さまの例

日数:1日6時間を4日間 目的:異なる部署間のコミュニケーション向上

Day 1: ペルソナ作成と課題定義
事前アンケートを参考に、ペルソナ作成を行いました。

Day 2: ジャーニーマップ作成
ペルソナのペインポイントを可視化するために、ジャーニーマップを作成しました。

Day 3: アイデア創出
アイデアを出し、その中からプロトタイプに移すアイデアを一つ選出しました。

Day 4: プロトタイプと検証
前日に決定した案を実施し、参加者全員で評価しました。

こちらの記事(「サービスデザインスプリントで組織内コミュニケーションを円滑に」)では、東芝さまにデザインスプリントを提供した際のケーススタディをより詳しく紹介しています。

4. デザインスプリントの専門家以外が実施する場合のポイントは?

誰でも実践できる、という特徴を持つデザインスプリント ですが、いざ組織内で実施してみようと思うとどこから手をつければいいか分かりませんよね。

ただ、初めから完璧を目指すよりも、チャレンジしてみる気持ちで挑むのも良いかもしれません。ここで、ニューロマジックが大事にしている原則をいくつかご紹介します。

デザインスプリントのポイント

  • アイデアをとにかく出して:自信のないアイデアがあっても、そのアイデアが他のメンバーにインスピレーションを与えることがあります。また、正しい、正しくないという基準にこだわらず、限られた時間をいっぱいに使ってたくさんアイデアを出してみましょう。そこからピカリと光るいいアイデアが生まれるかもしれません。
  • クリエイティブじゃなくてもいい:デザインスプリントはどんな人でも参加できるように設計されたプロセスです。普段、創造的思考に慣れていない、デザイン以外の領域の人々がそれぞれの専門分野の知識を活用し、良いアイデアを共創できるように考えられています。「私はデザイナーではないので、革新的なアイデアは思い浮かばないかも知れません…」という言葉をクライアントからよく聞きますが、実際デザインスプリントは、あらゆる参加者が効率よく解決策を生み出せるよう設計されたプロセスなので心配いりません。
  • 失敗しても大丈夫:いわゆる「失敗」にがっかりする必要はありません。デザインスプリントの主な目的は仮説を検証することです。そのため、作成されたプロトタイプが思い通りに行かなくても、問題ありません!時間とリソースを大幅に節約したことになるため、ある意味大きな成功です。

また、冒頭でもご紹介したこちらの記事(「デザインスプリント 入門」)では、役立つサイトやデザインスプリント実施の際に留意しておきたいポイントをまとめています。ぜひこちらも併せてご参照ください。

さらに、ニューロマジックではデザインスプリント実施前の準備、また実施後のフォローアップに役立つPDF資料を無料で提供しています。これらの記事ではデザインスプリントを実施する際のポイントなどもご紹介していますので、ぜひご覧になってください。

またリモートでのワークショップをお考えの方は、これら二つの記事が参考になります。

ニューロマジックでは、ファシリテーター養成講座やトレーニングも実施しています。組織内でデザインスプリントを実施するためのサポートに関してもお気軽にご相談ください。

5. デザインスプリントとデザイン思考の違いは?

似たようなプロセスを用いることから、混同されやすいこの二つ。今回は複数の方から同様の質問をいただきました。

そもそも、デザイン思考は大手デザインファームIDEOが1980年代に提唱したのが始まりです。一方、デザインスプリントは2010年にGoogleで開発され、2016年にGoogle VenturesのJake Knappが出版した「Sprint」で一躍有名になりました。

このように使われるようになった時期が異なる二つですが、これらの違いはどこにあるのでしょうか?

AJ&SmartのJonathan Courtneyは自身のブログ”Design Thinking vs Design Sprints, what’s the difference?”でこのように表現しています。

デザイン思考はイノベーションのための土台、哲学あるいはツールキットのようなもので、もちろんとても重要です。ただ、デザインスプリントはそれらを体系的に実施するのに便利な手法の一つなんです。

– Jonathan Courtney, CEO, AJ&Smart

つまり、考え方の大きな基礎となるデザイン思考を、実際にどう現場に活かすことができるのかを考えて編み出されたのがデザインスプリント 、というわけです。

同記事では、Jonathanがこの違いを料理に例えて説明しています。彼によると「革新的なプロダクトをあるスパゲティだとすると、デザイン思考は料理教室で、デザインスプリントはレシピだ。」と言います。どういうことでしょうか?つまり、デザイン思考は野菜の切り方や料理の哲学について包括的に教えてくれる料理教室、ただしそれだけでは具体的な料理を作ることができません。ここで、デザインスプリントというレシピは、誰が、いつ、何をするべきなのかということを細かく示し、導いてくれる道しるべになるのです。

要するに、デザイン思考をすぐに実践できるようプロセスを具体化、明確化したものがデザインスプリントだということですね。

Q5′ 社内研修として実施する場合、デザイン思考のワークショップとはどう違うのか?

一般的にデザイン思考の社内研修ワークショップは、デザイン思考の考え方を身につけるために実施されることが多いようですが、デザインスプリントは特定の課題に対して解決策を編み出すための、特定のフレームワークのことを指しています。このように、研修の種類や目的によって使い分ける必要があります。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

今回は、実際にみなさんから寄せていただいた質問にお答えしました。この記事でみなさんの疑問が少しでも晴れると嬉しいです!さらに質問のある方はメールやInstagramでお気軽にご連絡ください。

冒頭でもご紹介したこちらの記事(「デザインスプリント入門ー今、話題のサービス開発法」)ではデザインスプリント入門と題してデザインスプリント の基礎をまとめています。合わせて参考にしてみてください!

岩田エレナ

デジタルコンテンツプロデューサー

アメリカ出身。メディアコミュニケーションの学士号を取得後、2019年ニューロマジックに新卒入社。現在は自社のSNS企画運営に加えて、サービスデザインに関する記事の執筆、インタビュー、撮影までをマルチにこなす。

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