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リモートワークショップ成功の秘訣 <ファシリテーション編>

   

在宅勤務が多くなり、リモートでの仕事が当たり前になってきているこの頃。様々なメンバーが同時に集まる場がなくなり、同じ認識を持ってプロジェクトを先に進めることに難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。

そんな時に役立つのが、デザインスプリントや、マーケティングアラインメントワークショップなどのワークショップ。ワークショップではキーパーソンとなるメンバーたちが1つの場に集まり、短時間で決定を下していくので、効率よく問題を解決できたり、皆が同じ認識を持ってプロジェクトに取り組んでいくことができます。

今回は、前回の記事リモートワークショップ成功の秘訣<準備編>に引き続き、どんな種類のワークショップでも共通して気をつけるべきことについてお伝えします。今回は<ファシリテーション編>ということで、ファシリテーションする際や、ワークショップ当日に気をつけるべきことをお伝えします。リモートワークショップ初心者の方や、もっと上手くリモートでファシリテーションする方法を模索中の方におすすめです。

目次

  1. アイデア出し:アドバイスを与えて、みんなの集中力をキープ
  2. アイデアの共有:グルーピングは落ち着いて、確認しながら
  3. 民意投票:どうする?投票セッション
  4. ディスカッション:迷わず指名して、有意義なディスカッションに

この記事では、ワークショップで行うエクササイズにおける5つの基本的なステップ、[1. アイデア出し]→ [2. アイデアの共有]→[3. 民意投票]→[4. ディスカッション]→[5. 意思決定者による投票] のうち、1〜4のステップそれぞれのコツをお伝えします。もちろん、全てのエクササイズがこの流れで行われるわけではありませんが、多くのエクササイズに汎用性のある内容です。ぜひ参考にしてみてくださいね。

1. アイデア出し:アドバイスを与えて、みんなの集中力をキープ

アイデア出しの方向性をアドバイス

それぞれ個々でアイデアを書き出している時間は、参加者が「こんな内容であっているのかな?」と不安に思っていることが多くあります。オンラインホワイトボード上では、参加者がリアルタイムでポストイットに何を記入しているか見えるようになっているので、特にアイデア出しを初めてすぐの1、2分は確認しながらアドバイスしましょう「皆さん、こんな感じで合っていますよ」など、簡単な声がけだけでも構いません。参加者に自信を持って積極的に参加してもらえるようにすることが重要です。そこからは参加者に集中して取り組んでもらうために、あまり余計な声がけはしないように気をつけましょう。

最後まで集中してアイデア出し

また、後半になってくると「もうこれくらいしか思いつかないからいいや」と言わんばかりにアイデア出しを諦めてしまう方が出てくることもしばしばです。これは対面でも同じことが言えますが、リモートだと周囲の環境が共有されてないので、ある意味さぼりやすいというわけです。ほとんどの場合、アイデア出しは限られた時間の中で出し続け、追い詰めながら行うことで良いアイデアが生まれますから、参加者にはこの原理を伝えた上で、最後までアイデアを絞り出してもらうように声がけしましょう。

2. アイデアの共有:グルーピングは落ち着いて、確認しながら

グルーピングはファシリテーターだけで

▲ グルーピングの様子。似ている内容のポストイットを同じ箇所にまとめる。

アイデアの書き出しが終わったら、共有の時間。ニューロマジックではアイデア出しのあと、投票や次のディスカッションへと進む前に、どんなアイデアが出たかを整理するためにグルーピングを行います。対面のワークショップでは参加者も一緒にグルーピングすることが多いですが、リモートでは参加者には読み上げをしてもらうのみにしましょう。ファシリテーターとアシスタントでポストイットを共有用のキャンバスに移動し、グルーピングを行います。リモートで参加者も一緒にグルーピングをしようとすると、せっかく動かしたポストイットが他の場所に移動されていたり…なんて事態が頻発してしまいますから、ここはあえてファシリテーターだけでやるのがコツです。グルーピングができてきたら、参加者に違和感がないかを確認してもらい、必要に応じて調整を加えましょう

3. 民意投票:どうする?投票セッション

投票セッションは、自分に合った方法で

▲ドットのステッカーで投票を行うと、一目でどこに票が集まったかわかる。

アイデアの共有が終わると参加者全員による投票が行われ(これを「民意投票」と呼んでいます)、その後行われる、意思決定者による最終的なアイデア選定の参考になります。この時、対面のワークショップではドットのステッカーを使用して投票し、どこに票が集まったのか一目でわかる(ヒートマップとも呼ばれる)手法を取りますが、リモートではどうするのか?という話です。

実はリモートワークショップで使用されるオンラインホワイトボードmiroやMURALには優れた投票機能がついているので、これをそのまま使えば大丈夫!という話で片付けることもできるこの話。でも、ニューロマジックではステッカーを模した小さい丸のオブジェクトを作成し、コピー&ペーストで使用するというマニュアルな方法を採用しています。では、なぜそんな手法を私たちがとっているのか?みなさんにご理解いただくために、双方のメリット、デメリットを挙げてみます。

オンラインホワイトボードの投票機能          

メリット

  • 完全匿名で投票可能
  • 1人あたりの投票数を完全に制限できる
  • 投票結果を表示すると、一眼でどれに票が集まったのかがわかる               

デメリット

  • 投票結果ページを表示しないと投票の結果が分からず、後から該当箇所を見返した時にどこに票が集まったのかが分からない
  • 間違えて異なるポストイットに投票してしまい、どこで投票権がなくなったのかを見失ってしまうことがある                
▲ miroの投票機能を使用した投票結果の様子。結果を見るページを開いたときのみ確認できる。(元:miro votingサポートページ

丸のオブジェクト(ステッカー)を使用し、マニュアルで投票する方法

メリット

  • 投票結果ページを表示することなく、いつでも一目で投票結果がわかる
  • 個々のポストイットに対する投票結果だけでなく、どのグループに全体として票が集まっているかを把握することができる

デメリット

  • 丸のオブジェクト(ステッカー)が変形してしまうことがある
  • コピー&ペーストでなく、ドラッグで移動すると丸のオブジェクト(ステッカー)がポストイットの裏に隠れてしまうことがある
  • きちんと何票投票したか、自分で把握しなければならない
▲ 丸のオブジェクトを使用して投票した様子。すぐにどこに票が集まっているかの確認ができる。

このように、両者メリット、デメリットがあるのでぜひ両方試してみて、使い勝手の良い方を選んでみてください。ちなみに、ニューロマジックがステッカーを使いマニュアルで投票する方法を選んでいるのは、いつでも投票結果を一目で把握できるから。後から投票結果を振り返りたくなった時にすぐ見れるので、手間がかかってもマニュアルの方法は手放せないのです

4. ディスカッション:迷わず指名して、有意義なディスカッションに

時間を用途別に区切ってみる

オンライン会議ですでに多くの方が経験済みかと思いますが、リモートのワークショップでは皆発言を控えがち。自分の番を待ってから発言しなきゃ、という考えが参加者の頭に浮かび、ディスカッションがなかなか盛り上がらないことが多々あります。

対面のワークショップではディスカッションの時間を長めにとり、その中で自由に発言を促すことが多いですが、リモートではディスカッションに割く時間を細分化してみましょう。例えば、最初は個人の意見を1人ずつ聞く時間にして、その後気になる部分を深堀りしていく時間をとったり。そんなちょっとした工夫で構わないのですが、ノープランで自由な発言を促す時間をまとめて取るより、ずっと効果的な時間の使い方ができますよ。

リモートでは指名制が鉄則

リモートでは発言のタイミングが被ってしまったり、なかなか自分から発言しよう!と思いにくいものです。ですから、リモートのワークショップの時はどんどんファシリテーターから指名していきましょう。もちろん参加者の方が自主的に発言してくれればそれで問題ありませんが、ワークショップでは時間が限られていますので、迷うことなくどんどん指名し、発言してもらうことが重要です。

参加者があまりよく思わないかも…なんて思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ワークショップのファシリテーションを行うには少しの強引さも必要!怖気づかずに、がんばりましょ。

まとめ

  1. アイデア出し:方向性が合っているかアドバイスしたり、最後まで集中してもらえるように声がけする。
  2. アイデアの共有:読み上げだけしてもらい、ファシリテーターがグルーピングを行う。
  3. 民意投票:オンラインホワイトボードの投票機能、もしくはマニュアルでの投票方法のいずれかで使い勝手のよい方を採用する。
  4. ディスカッション:ディスカッションの時間は必要に応じて細分化し、オープンディスカッションの時間はあえて少なめにする。また指名して発言してもらうことで、有意義なディスカッションセッションにする。

今回はリモートワークショップのファシリテーションで気をつけるべきことについてお伝えしました。ここで紹介したのは気をつけるべきことの一部にすぎませんが、ぜひ意識して取り組んでみてくださいね。これを読んでリモートワークショップにチャレンジしてみた、という方はぜひフィードバックもお待ちしています!

石田智絵

アソシエイト・サービスデザイナー
BBA取得後顧客中心の視点に関心を持ち、サービスデザイナーとして入社。ワークショップを中心に多業界のサービスデザインプロジェクトに携わる。経済的、社会的、環境的にサステナブルな世界のためのデザインの探究にも熱心。

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