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デザインスプリントを試す前にー正しい課題定義の方法とは?

   

はじめに

デザインスプリントを実施しようとしている、あるいは課題解決に取り組みたいと思っている方々に読んでいただきたい記事です。

上司や同僚を巻き込みながら行う課題解決プロジェクト。デザインスプリントはスピード感が大きな魅力の一つです。ただし、丸1週間も普段の仕事から離れ、まとまった時間を確保するのは簡単なことではありません。主催者も参加者も、かかった時間に相応する効果を期待するはずです。

そもそも、デザインスプリントは「課題解決手法」と言われます。そんなデザインスプリントで重要な基礎を担うのが準備段階の課題定義。課題がきちんと定義されている状態、それはデザインスプリントで目指す「的」がはっきりした状態です。範囲がはっきりしていなかったり、チームメンバーによって意見が分かれるようではどんな「的」も狙いようがありません。

ここでの「課題」とはどのような課題のことでしょうか?デザインスプリントにふさわしい課題かどうかはどうすれば分かるのでしょうか?

あらゆるデザインプロジェクトでも欠かせない過程のひとつの課題定義ですが、今回はデザインスプリントにフォーカスを当ててご紹介します。

デザイン思考は「課題解決」の前に「課題発見」の手法であるーIDEOの共同経営者 トム・ケリー

出典: 『デザイン思考は「課題解決」の前に「課題発見」の手法である』日経クロストレンド

なぜ課題定義を行うのか?ー課題定義の重要性

課題定義の重要性は自明のようにも思えますが、デザインスプリントにおいて課題定義を行う場合に期待できることは大きく分けて4つあります。

  • デザインスプリントを本当に実施すべきかを確かめる これは最も重要な点だと言っても過言ではありません。時には、デザインスプリントを実施する時点で十分な資料、目標、計画があるのにも関わらず、スプリントを実施しようとすることがありますが、本当にデザインスプリントは必要でしょうか。無駄な時間を過ごしてしまわないように、デザインスプリントを実施する必要性を再確認しましょう。1週間、大事な仕事を離れて実施するほどの価値があるものなのでしょうか。
  • デザインスプリントに誰が必要か確認する デザインスプリントの課題を定義すると、誰がその課題に関わりを持つのかが分かり、つまりステークホルダーの全体像が見えてきます。そうすることで、実際のデザインスプリントには誰が参加するべきなのか、そして実施が可能なのかといったことを確認できます。さらに、ステークホルダーに含まれるユーザーについても理解が深まり、3日目のユーザーテストをどのようにするかという目処がつきます。
  • ステークホルダーの理解を得る さらに、課題を明確にすることで何を解決したいのか、つまり何を結果として得られるのかがわかってきます。さらに、ステークホルダーに対して説明する際、デザインスプリントの意義を伝えるための材料になります。
  • 課題の可能性を広げる 課題定義では、課題のスコープを狭めると同時に、出てくるソリューションの幅を広げる可能性をもっています。実際、スプリントの月曜日に実施する「状況を理解し、問題点を特定する/目標を固める」のプロセスでは、スプリントのゴールを設定します。具体的には長期目標やスプリントクエスチョンの設定を通じ、スプリントで目指すものを共創していくというイメージです。

いつ課題定義を行うのか?ー課題定義のタイミング

課題定義はデザインスプリントの計画段階で行います。時期としてはデザインスプリント実施の一ヶ月から数週間前が目安。デザインスプリントではあらかじめ目標となるゴール地点を決めることが重要になります。

どうやって課題定義を行うのか?ー課題定義の方法

課題定義のやり方は組織、課題の大きさ、その種類などによります。

一般的にはミーティングあるいはワークショップで行います。ニューロマジックでは、主にミーティングを通じて課題定義を行なっています。

今回は課題定義のやり方の一例をご紹介します。4つのステップで課題を定義しましょう。

  1. Where — この課題はどこにあるのか?
    まずは課題の背景を考えてみましょう。課題について様々なスコープの仕方や、見方がありますが、ステークホルダー間で前提条件をすり合わせ、見解を一致させることが重要です。
  2. Who — 誰の課題なのか?
    次に、クライアントやユーザー等、課題の中心となる人は誰なのかを理解しましょう。誰がこの課題に関わっていて、特に課題に影響を与えている人、そして影響を受けている人は誰なのでしょうか?こうした関連するステークホルダーを整理しながら課題を定義しましょう。ユーザーの課題であれば、ユーザーの視点を取り入れて解決策を考えることが必要になります。
  3. Why — なぜその課題を解決したいのか?
    ビジネスニーズやクライアントニーズを明らかにしましょう。デザインスプリントの課題をビジネスの目標に結びつけ、その課題を解決する価値が果たしてあるのかを考えます。さらに、クライアントのニーズ、すなわちクライアントにとっての価値も考えてみましょう。
  4. What — 課題の性質はどんなものか?
    最後に課題の性質について考えましょう。課題は複雑か、また課題のスコープは大きいのか、小さいのか、などです。ステークホルダーの間で理解を一致させ、問題提起文(Problem Statement)を作成しましょう。
    理想的な問題提起文は、現実的な範囲に絞られているものの、様々なソリューションが生まれる可能性を持つ文です。スコープの幅が広すぎてしまうと、具体的な解決策が出なくなってしまうので気をつけましょう。また、「創る」あるいは「向上する」のように行動を示す動詞を含み、ユーザー等を中心に置く人間中心的な提起文が良いとされます。
    *問題提起文の例) どうすれば異なる部署間のコミュニケーションを向上できるか? (『サービスデザインスプリントで組織内コミュニケーションを円滑に』より)

まとめ

ここまでデザインスプリントの課題定義について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?

デザインスプリントの効果をできるだけ高めるためにも、今回ご紹介した点を参考に課題定義を行ってみてください!

さらに、デザインスプリントの準備についてこちらのブログで解説しています。無料でダウンロードしてすぐに使えるキャンバスも合わせて活用していただけます。

佐々木怜

サービスデザイングループ・インターン生
東京外国語大学言語文化学部に在籍。大学ではフランス語と社会言語学を専攻し、社会や文化に関心を寄せている。翻訳や記事の執筆を行う。サービスデザイン分野、サステナビリティを勉強中。

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