SDGsという言葉が世間に広まって久しいですが、サステナビリティに関する情報は日々アップデートされ続けています。昨今のビジネスにおいてサステナビリティに取り組むことは必要不可欠となってきていますが、常に最新の情報を追うことは容易ではありません。本記事では、企業が注目すべきサステナビリティのキーワードを5つご紹介いたします。
1. CSRD:サステナビリティ情報開示の本格化
2024年1月からCSRD(企業サステナビリティ報告指令)が、欧州の大手上場企業およそ1万2000社を対象に発効されました。EUは2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「欧州グリーンディール」を掲げており、CSRDはその一環としてサステナビリティに関する情報開示の強化を目的とした規則です。その内容は、企業が環境、社会、およびガバナンス(ESG)に関する情報を開示し、持続可能性に関する透明性と比較可能性を高めることを求めるものなっています。持続可能性に関する情報の一貫性と透明性を向上させ、投資家やステークホルダーが企業の持続可能性に関する情報を評価しやすくする狙いもあります。また、CSR(企業社会的責任)報告という従来の報告手法から、より包括的で統一された持続可能性報告への移行を促進する役割も果たしています。日本企業も大企業に該当する子会社をEUで保有している場合、早ければ2025年の会計年度から報告の対象となり、2028年以降は売上高等の規模により対象企業に該当する可能性があります(参照元:経済産業省)。そのため、現在該当しない日本企業も、早めから準備し始めることで未来に備えることができるでしょう。
2. 効率化を図るサステナブル・テクノロジー
「先進テクノロジーのハイプサイクル」で知られる米調査会社のガートナーによると、2024年のテックトレンドの一つが「サステナブル・テクノロジー」です。サステナブル・テクノロジーとは、「企業とその顧客にとっての環境/社会/ガバナンス (ESG) の成果を支援する可能性を持つデジタル・ソリューションの枠組み」とガートナーは定義づけています(引用元:Gartner)。AIやクラウド、高度なアナリティクスなどによって、社内ITに関するオペレーション、企業に関するオペレーション、顧客に関するオペレーションで、コスト/エネルギー効率/資産活用の最適化などを進めることが期待されています。例えば、「自動化により資源集約的な活動を削減する、人工知能 (AI) や自然言語処理により気候がビジネスに及ぼす影響を予測する、高度なアナリティクスによりリアルタイムのパフォーマンス分析を行う、クラウドによりプロセスを変革しリモートワークを可能にする」などが挙げられます。こういったサステナビリティを促進させる戦略を効率的に取り込むことで、サステナブルな企業のオペレーションを実現できます。
3. 着実に注目を集めるインターナルカーボンプライシング
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、地球の気温上昇を産業革命前を基準に1.5℃未満に抑えるためには、大気中の温室効果ガス排出量が除去量と差し引きゼロになる状態「ネットゼロ」を2050年までに達成しなければなりません。そのために、昨今企業はさまざまな取り組みをしていますが、インターナルカーボンプライシングが注目を集め、パナソニックをはじめとする大手企業が着手し始めました。その内容は、企業が自社のビジネス活動における温室効果ガス(GHG)排出に対するコストを内部的に設定するといったものです。設定基準は企業により様々ですが、インターナルカーボンプライシングを決めることで、企業は環境への影響を考慮して投資やプロジェクトの優先順位付けを行うことができます。そしてそれがより低炭素なプロジェクトに優先的に資金を割り当てることに繋がります。環境への影響を見える化することでより具体的な施策を行っていけるようになります。
4. サステナビリティデータ管理ツールの導入
昨今、ビジネスにおける持続可能性への関心が高まるなかで、日本ではまだ義務付けられていないものの、自主的に「サステナビリティレポート」を作成し、公表する企業が増えています。温室効果ガス排出量の開示などの環境に関する事項に加えて、女性活躍推進法に基づく女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金格差のような多様性の指標に関する事項も新たな対象となっています。多岐にわたるサステナビリティ情報を収集し管理することは、多くの企業にとって急務であり課題です。そこで注目されているのが、サステナビリティデータ管理ツールです。データ管理ツールを利用しデータを一つの場所に集約・統合することにより、企業は環境への影響やエネルギーの使用などの重要データを把握しやすくなり、迅速かつ効果的な意思決定ができます。また、人工知能(AI)や機械学習(ML)の活用により、大量かつ複雑なサステナビリティデータを解析し、その傾向をより正確に把握する手段として利用されたり、ブロックチェーン技術によりサプライチェーンの透明性向上や、環境データの不正改ざんの防止に使われたり、データの透明性と信頼性の向上が期待されています。
5. 年々重要度が増していくマテリアリティ特定
マテリアリティ特定とは、企業や組織が持続可能性報告やCSR報告書などで取り組む持続可能性戦略のなかで、重要な課題や影響を特定するためのプロセスです。ステークホルダーのフィードバックをもとに、企業は自社のビジネスや業界において重要な持続可能性課題を環境、社会、ガバナンス(ESG)の観点から特定します。そうして特定された持続可能性課題に対して、影響の大きさや関連するリスク・機会を評価し、優先順位付けを行います。特定されたマテリアリティに基づいて、企業は持続可能性報告書やCSR報告書などで関連情報を開示し、ステークホルダーに対して透明性を提供します。2024年1月から欧州でCSRDが発行されたため、今後ますます情報開示のプロセスとしてマテリアリティの特定が必須となっていくと考えられます。
まとめ
今回は、サステナビリティに関するキーワードを5つご紹介しました。しかし、実際にはこれ以外にも数多くのアプローチやメソッドが存在しています。それぞれの企業に合った方法を見つけていく必要があるかもしれません。しかし全ての企業に共通していることは、サステナビリティに対してアクションを起こすことが今後のビジネスにおいて必要不可欠になっていくということです。投資家も消費者も企業のESGパフォーマンスを考慮するようになってきている昨今。世界の動向に注目し、理解し受け入れ、活用していかなければならないでしょう。
サステナビリティへの影響の把握、追跡、報告についてご興味をお持ちの方は、お気軽にニューロマジックまでお問い合わせください。ワークショップ、リサーチ、コンサルティングを通じて、マテリアリティの特定をするお手伝いをいたします。GRI認定のサステナビリティプロフェッショナルがチームに在籍しているため、グローバルスタンダードに沿った成果をお約束するとともに、お客様ニーズに合わせてカスタマイズすることも可能です。
組織内の主要なサステナビリティ問題を把握した後は、サステナビリティデータ管理・分析ツール「SustainLab(サステンラボ)」を利用して、サステナビリティへの影響を追跡することもできます。ヨーロッパのサステナビリティリーダーとAIデータサイエンスの専門家によって構築されたSustainLabは、サステイナビリティデータの一元的かつ効率的な管理、アップロード、分析、報告を可能にし、実用的で使いやすいインターフェイスで最先端の技術を活用しています。
関連URL
・https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/hizaimu_joho/pdf/010_04_00.pdf
・https://www.gartner.co.jp/ja/articles/are-you-thinking-too-small-about-sustainable-technology
・https://sdg.neuromagic.com/demystifying-reporting-to-understand-your-sustainability-impact/




