先日、Trellisに掲載されたレポート『How to Set Sustainability Strategy in 2025』は、多くの方にとっても興味深い内容だったのではないでしょうか。
このレポートは、IMPACT ROIのSteve Rochlin氏と、Sandbar SolutionsのJeff Senne氏の共著で、企業のサステナビリティ戦略が直面する緊張関係とその乗り越え方について、非常に実践的かつ知見に富んだ示唆を与えてくれます。
中でも注目したいのが、「STM(Sustainability Tension Management)」という新たな戦略フレーム。そして、組織のサステナビリティ戦略を6つの「アーキタイプ(類型)」として捉えるというアプローチです。
サステナ戦略の“6つの顔”
Rochlin氏とSenne氏は、企業のサステナビリティへの取り組み姿勢を、以下の6つのアーキタイプに分類しています。
1. ボックス・チェッカー(Box Checker)
最低限の法令遵守やCSR対応にとどまり、表面的な活動が中心。
2. ブランドと評判を重視(Brand & Reputation Driven)
ESGを通じて企業価値や信頼性を高めようとするマーケティング寄りの戦略。
3. 即時の利益を追求(Immediate Return Driven)
投資対効果を重視し、効率改善やコスト削減を狙う実利主義タイプ。
4. 影響と目的に焦点を当てる(Impact & Purpose Focused)
企業の存在意義や価値観をサステナビリティに重ね、社会的使命を果たすことを優先。
5. イノベーション主導(Innovation Driven)
サステナを起点に、新しいビジネスモデルや技術革新に取り組む。
6. リスク削減主導(Risk Reduction Driven)
規制対応、レピュテーションリスク、災害へのレジリエンス強化など、将来リスクの最小化を図る。
どのタイプを「重視するか」を共有できているか?
この6分類を見て、「うちの会社はどれだろう?」と考える方も多いかもしれません。しかし、本質的に重要なのは、組織全体でどのアーキタイプを“重視しているか”を明確にし、それを共有できているかどうかです。
レポートでは、CSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)が描く理想像と、C-suite(経営陣)が持つ暗黙の期待が食い違っていることが、戦略の混乱や成果の乏しさを生んでいると指摘されています。
なぜ整合性が重要なのか?
たとえば、現場のチームが「イノベーション主導」でサーキュラー型プロダクトを開発しようとしても、経営層が「リスク削減主導」で最低限の規制対応を求めていたら、そこには構造的なズレが生まれます。
また、ブランディングを強化したい広報部門と、即時の業績改善を求める財務部門とで、ESG施策の優先度が食い違うといったケースもよく見られます。こうしたズレは、施策の中途半端さや社内のモチベーション低下、外部への説明責任の曖昧さにもつながりかねません。
まずは「アーキタイプの言語化」から始めよう
レポートでは、「自社がどのアーキタイプに近いかを言語化し、関係者の認識をそろえること」が、STM(Sustainability Tension Management)を機能させるための出発点であると明言されています。
しかも、多くの企業は一つのアーキタイプに純化しているわけではありません。経営層、サステナチーム、マーケティング、現場、それぞれが異なるアーキタイプを無意識に志向している――という状態が、実際にはほとんどです。
だからこそ、「私たちはこの方向を重視していく」という組織としての合意形成が不可欠なのです。
あなたの組織の「今」と「これから」を、私たちと一緒に言語化しませんか?
組織がどのアーキタイプにいるのか。そして、どの方向に進もうとしているのか。それを見極め、言語化し、社内で共有していくプロセスは、単なるESG対応を超えて、経営そのものの意思決定構造をアップデートする営みだと私たちは考えています。
ニューロマジックでは現在、この「6つのアーキタイプ」を活用した対話設計や社内ワークショップの開発を進めています。数多くのデザインスプリントやワークショップ、またサステナビリティをテーマにしたプロジェクトを手がけてきた知見をもとに、これからの企業に求められる「合意形成と共創のプロセス」を支援していきたいと考えています。
組織の“らしさ”を損なわずに、どこまで踏み込むか?
ESGをリスクではなく、競争優位に変えるにはどうすればよいか?
そうした問いに向き合いながら、未来の選択肢をともに広げていけるパートナーでありたいと思っています。
ご関心のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。



