【2027年SSBJ義務化に備える】統合データで戦略を“語れる”企業が選ばれる時代へ

2027年、SSBJ(日本版サステナビリティ開示基準)が有価証券報告書で義務化されます。しかし複数の調査によると、日本企業の約半数が依然として「気候変動の財務影響」を具体的に記載しきれていない可能性が指摘されています。時価総額1兆円を超える大企業であっても、最新のGHG(温室効果ガス)排出量を開示できていないケースが見受けられます。なぜこのような状況が生まれているのでしょうか。            

ニューロマジックでは、企業支援の現場で多く見てきた課題として、その背景に「数字を作りにくい企業構造」があると捉えています。たとえば、情報管理の仕組みが整っていない、データ統合の責任者が明確でない、部門間でデータの整合性が取りにくいーーといった構造的な要因です。

2026年は、単に「情報を出す時代」から「統合データで経営を語る時代」への転換点になっていくでしょう。この変化にどう備えるかが、企業の競争力にも影響していく可能性があります。

データは存在している。なのに戦略につながらない理由

多くの企業では、実は必要なデータそのものは社内にすでに存在しています。購買データ、生産データ、財務データ、人事データなど、各部門がそれぞれ情報を保有しているケースは少なくありません。それでも、「戦略につながらない」と感じる場面が生まれるのはなぜでしょうか。企業の皆さまとの対話を通じて見えてきた傾向として、企業の情報課題を大きく3つに整理しています。

1) サプライチェーン情報が組織内で拡散している

まず多いのが、サプライチェーンに関する情報が組織内で分散しているケースです。購買部門、営業部門、工場、人事部門、財務部門など、複数の部署に情報が散らばり、使用しているシステムやExcelファイルも部門ごとに異なり、結果として、データ同士が十分に接続されず、「全体像が見えない」状態になりやすくなります。

2) 数値ロジックが担当者の暗黙知になっている

次に、算出式や前提条件がブラックボックス化してしまい、担当者の暗黙知に依存しているケースです。その結果、年に1回の開示作業のたびに「ゼロから再構築する」ような状況が繰り返されてしまうことがあります。こうした課題は、経済産業省やGXリーグ関連の議論でも、日本企業に共通する論点として取り上げられることが増えています。

3) 事業戦略の裏にある「数字」が整理されていない

そして、より本質的な課題になりやすいのが、事業戦略の裏側にある「数字」が十分に整理されていない状態です。たとえば、収益源はどこにあるのか、原価構造はどうなっているのか、市場シナリオをどう置くべきか。こうした基本情報が可視化されていないと、非財務情報と財務情報がつながりにくくなります。結果として、気候シナリオ分析を行おうとしても、根拠となる数字が揃わず、説明が難しくなる場面が出てきます。 

散らばっている社内データをつなぎ合わせ、経営に使える形に整理する力——つまり「データ統合力」が重要です。単にデータを集めるだけではなく、判断に使えるように整え、説明できる状態にします。それが、これからの開示と経営の土台になっていきます。

「気候シナリオ」は書くものではなく”読み解くもの”

もちろん、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やISSB(国際サステナビリティ基準審議会)でも文章表現は求められます。ただ実務の現場では、文章そのものよりも、数字の根拠と一貫性が問われる場面が増えています。気候シナリオは、言い換えれば「数字で語る戦略」に近く、文章はその最終的な表現手段のひとつだと捉えると理解しやすいでしょう。

気候リスクを読み解く際は、具体的に以下のような問いを立てることが重要です。

  • 価格転嫁は現実的に可能なのか
  • 原材料の代替策は実現可能性があるのか
  • 投資判断はどう変わるのか、事業撤退のラインはどこに置くべきか

気候機会についても同様です。

  • 省エネ投資のROIはどの程度見込めるのか
  • 新規市場はどこに存在し、規模はどの程度なのか
  • 強化すべき事業領域はどこなのか

これらはすべて、最終的には数字で説明できる状態になっていることが求められます。文章だけで成立させるのではなく、財務とつながる根拠を用意し、意思決定と整合した形にしていく——その設計が重要になります。  

「開示のためだけに書いたシナリオ」は、投資家や評価者に違和感を持たれてしまうことがあります。データの裏付けが弱い、財務とのつながりが見えない、経営戦略との一貫性が説明しづらいーーそうした状態では、せっかく作った資料が十分に評価されにくくなる可能性があります。

シナリオを「書く」前に整えるべき3つの基盤

気候シナリオは、文章を書くことから始めると難航しやすくなります。むしろ先に整えるべきなのは、シナリオを支える「基盤」です。以下の3つが一定程度整ってくると、シナリオは「書く」というより「組み立てられる」状態に近づいていくと考えています。

①データ棚卸し:全社のファクトを1つに集約する

まず必要なのは、社内に点在するデータを「どこに何があるか」から整理することです。

  • どの部門がどのデータを保有しているか
  • 算出ロジック(前提・式)は何か
  • 更新頻度はどの程度か
  • 責任者は誰か

GHG排出量だけでなく、購買データ、工場データ、財務データ、市場データなども含めて、体系的に棚卸ししておくことが重要になります。

②財務との接続ルート整備:非財務→財務への翻訳回路

気候リスクが売上、原価、投資計画にどう影響するのかを明確にする必要があります。炭素価格の影響はどの程度か、代替原料の導入や省エネ投資によって収益性はどう向上するのか、事業ポートフォリオへの反映方法はどうあるべきか。こうした翻訳回路の構築が不可欠です。

③ガバナンス整備:更新頻度・責任者・意思決定プロセス

年に1回の「イベント作業」ではなく、経営に組み込まれたデータ運用サイクルへと転換する必要があります。経営会議でのレポート形式を統一し、リスクと機会を定量的に比較できる資料体系をつくることが求められます。

なお、SSBJ開示はガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4項目で構成されており、特にガバナンスが最重要項目として位置づけられています。

ニューロマジックが提供する「統合ストーリー」の設計

ニューロマジックでは、開示対応を“作業”にしないために、企業内部の複雑な情報を「経営が意思決定に使える状態」に再構成する支援を提供しています。

情報整理(部門横断で”事実だけ”を抽出)

部門横断で「事実だけ」を抽出します。Excel管理の可視化、データマップ化、必要・不要の仕分け、KPI体系の共通言語化などを行います。

戦略ロジック整理(財務へのブリッジ構築)

気候リスク・機会を財務モデルに翻訳し、投資判断に紐づく論点を整理し、経営企画部門や財務部門と協働した構造設計を行います。

SSBJ(サステナビリティ基準委員会)フォーマットに合う形での体系化

最新の公布内容に基づき、経営戦略から財務シナリオ、開示資料へと至る一貫した構造を設計し、評価者が読みやすい「ロジックライン」をつくります。

経営レベルで使える資料の設計

論点別の整理、リスクと機会の定量比較など、経営企画部門と協働できるレベルで意思決定資料を設計します。

2026年は「経営が数字で語れる会社」だけが選ばれる

SSBJ対応は、単なる「開示の技術」の話ではありません。企業戦略そのものの質が問われるフェーズに入っているのです。データ統合力こそが企業価値を決める新たな競争軸になっていくのではないでしょうか。2027年の義務化に間に合わせるためには、2026年がラストチャンスです。今すぐ「情報ガバナンス改革」を始めるべき理由がここにあります。

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ニューロマジックでは、貴社固有のデータ構造・事業戦略に合わせた「統合ストーリー」の設計をご支援します。

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