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振り返りに活用できるフレームワーク5選

   

今回の記事では、会議の振り返りを行う5つの方法をご紹介します。チームでの話し合いだけでなく、仕事終わりに個人でその日(週)の結果を振り返り、改善・調整する方法としても活用できます。

振り返りを行う主な目的は、チームメンバーや個人が開発の結果を体系に、客観的な視点から話し合い、よりよいアクションプランを生み出すことです。そして「今回はうまくいかなかったので、次回は気をつけます」と終わるような形式的な振り返りも避けられます。

また週1回の振り返りミーティングを開く際、良きタイミングで異なる方法に変更することで、アジャイル開発プロセスにおけるチーム作りにも役立ちます。

会議の時間を短縮したい場合も、次の5つの方法で30分程度に圧縮することができます。 これらの方法で振り返りを行う際には、あらかじめファシリテーターを決めておくと良いでしょう。

1. KPT(A)

KPT(A)はプロジェクトのハイライトや問題点を可視化することでプロジェクトを振り返り、チームが次のステップを策定するのに役立つ非常にシンプルな手法です。アメリカのコンピュータ科学者であり、アジャイル開発の先駆者であるアリスター・コックバーンが考案したもので、今ではアメリカ以上に日本で普及しています。

  • Keep:良かったこと、続けたいこと
  • Problem:問題、うまくいかなかったこと
  • Try:次にやってみたいこと、Pに対する解決策
  • Action:Tryを具体的なTodoに落とし込む

流程

  1. Keepを付箋に個人で書き出す、みんなで共有
  2. Problemを個人で書き出す
  3. みんなで共有・特に議論したいものがあれば時間を決めて話す 量が多い場合、投票などを使ってメンバーが重要と思っている問題を特定してから話す
  4. Tryを個人で書き出す
  5. みんなで共有・特に議論したいものがあれば時間を決めて話す なるべく、Problem全てに対して Tryを出せると良い
  6. Tryの中から特に取り組みたいものをアクション化する 担当者と納期を決める

大事なのは、「トライ」を具体的なアクションに落とし込むことと

KPTのTRYセクションでは、次に何をするかの大まかな説明だけでなく、具体的な行動を書き出すことが重要です。 ポイントは、単純に「売上を増やす」と書くのではなく、「お客様の訪問回数を月に20回増やす」など、アクションが十分に明確であることです。KPTのプロセスはわかりやすい反面、最後に漠然としたTryしか得られない場合が少なくありません。最後に具体的な行動に帰納できるよう、現在では一歩進んで「KPTA」を実施するチームが多くなっています。(AはActionを意味します)

もう一つ重要なポイントがあります。KPT法のコアコンセプトは「フロー(流れ)」であり、その中の「Try」をテストすることがポイントだということです。 なぜ流れを重視するのでしょうか? ほとんどの場合、最適なソリューションを特定するのは難しいものです。検証し、残す(Keep)価値のある方法を発見できれば、その「Try」は次のKPTリフレクションの「Keep」に入る機会があります。 同様に、このテストで新たな疑問が生じた場合は、次のKPTの「Problem」に入ります。このように、KPTの動きは「フロー(流れ)」になっているのです。

KPT法を使う理由は?

「KPT法」にはいくつか特徴があります。まず、「長所・短所を問わない」という点です。これまでの振り返りでは長所・短所の議論に迷い、悪いところを隠して良いところを出す傾向があります。最も重要なのは長所・短所ではなく、未来の行動計画です。しかし、振り返りの過程ではこの前提を忘れて自己否定に陥ることが多々あります。ところが「KPT法」の振り返り方は、全て未来の行動計画に集中しています。

したがって「KPT法」の記録方式は、自分自身を効果的に顕在化し、構造を素早く確立できます。よって価値のある経験を蓄積すると同時に、自分の能力を改善することに集中することができます。

2. YWT

YWT法では、自分がとった行動を分解して再検討し、その行動から何を学んだか、次にどのようなステップを踏むべきかを考えます。これは誰でも次のステップに迷ったときに使える、シンプルで覚えやすいフレームワークです。

Y:やったこと

W:わかったこと

T:次やること

流程

  1. やったこと・わかったこと・次やることを個人で書き出す
  2. やったことをみんなで共有
  3. わかったことをみんなで共有
  4. 次やることをみんなで共有

経験と学習に重点を置くことが特徴

YWTのプロセスは、定番の振り返り方法であるKPTとあまり変わりません。 その違いは、KPTが仕事や目標、改善点の見直しに重点を置いているのに対し、YWT は経験と学習に重点を置き、(i)「次にやること」として設定した内容を実際に実践し、(ii)そこから学んだことを振り返り、(iii)次にやることを設定していく、というサイクルを実行することです。

次にやることを具体的に設定すること、そして「なぜそれをやるのか?」という理由を言語化し、チームとして共有することがうまくサイクルを回すことが鍵となります。

3. Star fish

The Starfish は、グローバルテクノロジーのリーダーでありコンサルタントでもあるパトリック・クアが生み出した方法です。チームメンバーが振り返りを行う際に、「良い」「悪い」という二項対立を超えて考えるように刺激し、チームメンバー間で異なる行動の価値に対する相互理解を促進します。

  • Keep Doing:すでにやっていることで、効果があり、今後も続けたいと思うこと
  • More of:既にやっていることで、効果が大きく、今後もっと取り組みたいこと
  • Less of:実施に多大な労力を割くのに、大した効果がないので、減らしたい取り組み
  • Stop Doing:チームにとって、何のメリットもないこと
  • Start Doing:新しく始めたいことや次にやってみたい施策

流程

  1. 全ての項目に対して、個人で書き出す
  2. みんなで共有
  3. 特に話したいことを投票で決める
  4. 投票数が多いものについて、議論し、具体的なアクションを決める
    • 時間の限り、これを繰り返す

目の前に一番大きい課題にアプローチして改善していくのが特徴

本質的には、KPT(A)とStarfishに大きな差はありません。主な違いとしては、StarfishはKPT(A)のステップを更にブレークダウンして振り返ります。具体的には、Starfishの「Less of」と「Stop Doing」は KPT にある「Problem」に大体相当します。

他にも相違点があります。進め方4.にあるように、Starfish全ての項目について討論するのではなく、一番重要なものに絞り込んで解決を目指します。

つまり、目の前に一番大きい課題にアプローチして改善していくのがStarfishの特徴なのです。

4. World Cafe

ワールドカフェでは、短時間のうちに様々な観点から意見を聞くことができ、参加者同士で刺激を受けることができます。

流程

  1. 話したいトピックを個人で洗い出す
  2. グルーピングしながら、みんなで共有
  3. 人数に応じて、ランダムに参加者をグループ分けする
    • 1チームの最低人数は3人がおすすめ
  4. グループで、トピックの中から話したいものを選出
  5. 時間内にトピックに対して議論を行う
  6. 2ラウンド目(アイデアのやりとり)は、グループを変えて対話をスタート。ひと通り、前までのセッションの話題を説明した後は、同じテーマについて話し合いを続ける。
  7. 第三ラウンド(気付きや発見を統合)では、他のテーブルに散ったメンバーが最初のテーブルに戻り、移動先で話し合った内容や得た情報などとともに、さまざまな意見やアイデアを出し合う
  8. 自分のグループでどんなことが話されたのか代表者が全体に発表

一定数の参加者と話題がある状況で使うのがオススメ

一定数の参加者と話題がある状況で使うのが良いでしょう。例えば大規模なプロジェクトで15人ほど参加者がいるような場合は、ランダムに小グループに分け、さまざまなトピックについて議論したり、グループメンバーをローテーションし異なる視点からの議論を促進したりすることが望ましいでしょう。

5. Timeline

タイムラインフレームワークとは文字通り、プロジェクトに参加した全員の行動を時系列に並べたものです。 時系列順に部門を超えて出来事を見ることで、ざっくりとしたアプローチでも関係者間の関係性を考え、改善のヒントを得ることができます。

timeline

流程

  1. 振り返りたい期間について、時系列に沿ってあったこと、ポジティブとnegativeの要素とか、KPTの要素とかをみんなで洗い出していく。
  2. その中で特に気になったポイントについて、投票
  3. 投票数の高い順に時間の限り、議論していく

私たち人間の特性として、手がかりと情報を結びつける傾向があります。だからこそタイムラインの見直せば、より多くの情報を集めるための連想力と記憶を刺激するでしょう。

例えばチームが月単位でプロジェクトをレビューしている場合、いざチームがレビューする頃には1ヶ月前のことを忘れてしまっている可能性があります。そこで、時系列で「出来事」をリストアップして可視化できれば、見落としを防ぐことができ、チームメンバーの復習にも役立ちます。

まとめ

今回は振り返りの進め方を5つご紹介しました。製品開発チームが週次・月次のレビューを行う際に、参考になれば幸いです。そして、最後に一つだけ注意があります。プロジェクトの規模や振り返りのタイミング、チームメンバーの属性によっては、実行したときの感覚が大きく異なる場合があります。実際に試してみて、自分のチームに最適な方法を見つけることをお勧めします。

つまり、ポイントは問題を特定してそれを改善することを考えることであって、手法そのものではないのです。また、これらの方法、日々の仕事を記録したり、問題点を特定したり、適切なレメディーを処方したりと、自分の仕事にも活用できます。

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林 静瑩

サービスデザイナー
台湾出身。2019年ニューロマジック入社。前職で培ったマーケティング領域での経験を活かし、現在はデザインスプリントのメニュー設計やファシリテーションを行う。中国語、英語、日本語を巧みに操るトリリンガル。

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