ニューヨークとサンフランシスコに拠点を置くイノベーション&戦略コンサルタンシー「The SIX」。2017年Diana LiuとKandis O’Brienにより設立され、設立時よりスタートアップや大企業のサポートを行ってきました。The SIXのやり方は「Slay the ambiguity」「Supercharge organizations」「Throw down with confidence」と表現されています。日本語で言うと「曖昧さをかき消し」、「組織に活力を与え」、「自信をもって問題を投げ飛ばす」といった感じになるのですが、英語だとユーモアとエネルギーに満ち溢れた表現です。そんなユニークなパーソナリティを持ち味に、プロフェッショナルなサービスを提供しているのがThe SIXです。

今回、ニューロマジックはKandis、Dianaとzoomでインタビューを実施。これまでのキャリアや、デザイン思考やサービスデザイン、デザインスプリントとの出会い、そしてクライアントに真に価値のある結果を届けるために、どのようにしてビジネスとデザインとを融合させているかについて伺いました。
目次
早速インタビューの内容に入る前に、まずは簡単にKandisとDianaのキャリアについてご紹介します。2人のキャリアは戦略やイノベーションに深く根付いていることがお分かりいただけるかと思いますが、もちろんインタビュー内容が気になる方は飛ばして先に進んでしまっても大丈夫ですよ。
Kandisは会計士としてキャリアをスタートしましたが自分には合っていないと気付き、ドットコムバブルの最中にeコマースの世界へ。そこでウェブデザインマネジメントの職に辿り着き、コンサルティング職を経てからアメリカの大手食品会社Mars Foodの所有するブランド「Uncle Ben’s」の数百万ドルもの予算を担当する貿易マネージャーに!そこで消費者向け製品を生み出し、マーケティングの経験を積みました。その後 eコマースコンテンツマネジメントとDX(デジタルトランスフォーメーション)の分野に移り、NTTデータでアメリカ初のユニクロのウェブサイトを実現させたという経験も。そしてその後KandisとDianaが出会ったコンサルティングファームではレガシー企業のアクセラレーションと、包括的なデジタルエクスペリエンスの構築に取り組んでいました。
Dianaのキャリアパスは少し異なりますが、コンピューター業界にいたという点では同じ。国際ビジネスの学位を取得して、大規模のデータネットワーキング会社の営業としてキャリアをはじめました。そこで10年以上働き、中小企業のチャネル営業から国際アカウントマネジメントまで、誰も望まないような仕事を引き受け、自身の力でこなしてきました。こんな彼女の粘り強さがきっと今の仕事へと導いたのでしょう。Dianaがいたこの企業では長年働かれる人がほとんどだったようですが、彼女はここでもう何も新しいことを学んでいないと気付き、MBAをはじめました。修士号を取得した後にはコンサルティングの分野でのキャリアを開始。そこでKandisと出会ったというわけです。

それでは、ここからはKandisとDianaへのインタビューをお届けしましょう!まずはThe SIXの誕生話から。
きっかけとなったデザイン思考との出会い
Diana:経営コンサルティングの世界に入ってからはイノベーションと戦略に関することが主で、当時イノベーションと戦略といえばビジネスプロセスエンジニアリングでした。現在では、バリューストリームマップやジョブ理論と呼ばれています。ですから、HRやエンジニア、営業、オペレーションの人々をサポートしたりするのが私の注目しているポイントでした。営業の人々、プロダクト担当の人々や、HRのリクルートプロセスにおけるエクスペリエンスを再考するというような内容です。
そこで(以前の会社の)CEOがデザイン思考をメソドロジーとして持ち込んだので、私はビジネスプロセスマネジメントと併せてデザイン思考を使うようになりました。
Neuromagic:ということは、Kandisさんは以前会社に勤めていたときからデザイン思考に関わっていたということですね。
Diana:Kandisはデザイン思考をCEOから学んだ、皆が頼るようなオピニオンリーダーだったので、その後私と一緒に完全に新しいサービスを生み出しました。ビジネスモデルキャンバスやバリューストリーミング、デザインスプリントを提供し始めたんです。私たちのチームは1年で5人から世界で75人まで成長しました。(海外オフィスへトレーニングをしに行くために)Kandisは6〜8週間、私は2〜4週間くらいオフィスにいませんでしたね。素晴らしく、楽しい経験でしたが、とってもきつかったですね。Kandisはいつもよく寝てしまってましたよ。ワークショップ終わりに私たちと出掛けたいがためにディナーに行くんですけど、スプリントを立て続けにやるのに疲れ果てていたんでしょうね。
Neuromagic:以前の会社では、デザイン思考の方法論をどのようにして活用することができたのでしょうか?皆が伝統的なコンサルティングの形に慣れていて、実践が難しいと感じることはありましたか?
Diana: 口コミで広がったようなものでしたよ。というのも、当時のCEOは従業員皆に学んでほしいと思ってたので、社内で1Dayトレーニングをしていました。多分1年で100,000人くらいはトレーニングしていたと思います。正しいやり方だったとは思いませんが、インドで1,000人を同時にトレーニングすることもあったと思います。で、そうすると必ず「こんなの私には関係ないわ」ていうような人がいるんですよね。でも、終わる頃には完全にその虜になっていましたよ。この経験は、楽しかったですね。
Kandis: 私たちはクライアントに真の価値をもたらすために、デザイン思考をコンサルティンングサービスの中に統合するのが得意だったと思います。皆、デザイン思考のサービスはロスリーダーと見なしていたので、「これが本当にイノベーティブだと証明するためのオファーを作ろう。でも半日か1日のセッションを作らなきゃいけない」と思ってやっていましたね。
多くの人々は「デザイン思考のトレーニングをしてあげますよ」というようにデザイン思考自体に焦点を当てていますが、私たちは「私たちならこのメソドロジーとアプローチを使って、実際に直面しているビジネス課題に対するソリューション創出をお手伝いします」という風に伝えていました。それに、もう1つのポイントは私たちは単にワークショップの終わりをプロジェクトの終着点とみなしていなかったということ。私たちは本当にソリューションをクライアントに与えることや、のちに実行に移れるようにロードマップを作成することに注力していましたからね。
デザイン思考には遊びのようなイメージが付きまといがちだが、
きちんと焦点を定めてクライアントにとって
意味のあるソリューションとは何かを考える。
– The SIX Co-founder Kandis O’Brien
デザイン思考について考えるとき「ポストイットを使ってお遊びをしましょ」というようなイメージが付きまといがちですが、私たちはきちんと焦点を定めてクライアントにとって意味のあるソリューションとは何かを考えるようにしていました。これがデザイン思考のセッションから、デザインスプリントへと移行し始めた理由です。ソリューション創出プロセスの最後に現実性の高い結果やプロトタイプを生み出すことで、きちんとビジネスへと活かし、エグゼクティブたちに主張することができますからね。単にアイデアを示すだけでなくてワークショップの結果を本当の意味できちんと具体的に示したかったのです。
2人でエージェンシーの設立へ
Neuromagic: なぜ一緒に退職し、2人でThe SIXを始めようと思ったのですか?
Diana: 「ねえ、これ私やってみるけど、一緒に来る?一緒にやってみたい?」みたいな感じでしたね。私たち2人が完璧<perfect>であり、不完全<imperfect>な関係であることの理由の一つは、Kandisと私はすぐお互いにイラつかせてしまうし全然違うけれど、同時にとても似ていて、私が得意なこととKandisが得意なことは互いに補完関係になれるということ。それに、私たちはいつも笑いが絶えないし、つまらないことばっかり言ってる。だからこういう関係が一歩先に進んだってだけです。その時点でもう少なくとも1年間はかなり親しい仲でしたからね。単に聞くだけでした。
単にクライアントを説得させるためだけのプロセスではなく、
それ以上の可能性のあるものだと思った。
– The SIX Co-founder Kandis O’Brien
Kandis: 私たちはこうしたメソドロジーを通してもっとやりたいことを共に見ていたんだと思います。会社がクライアントに採用して欲しいテクノロジーを使ってもらうための、単にクライアントを説得させるためだけのプロセスとして使うのではなくて。それ以上の可能性のあるものだと思ったんです。
私たちは本当に意味のあるものをクライアントに提供できるようになりたかったのです。これが大きかったと思います。私たちは何でもかんでもクライアントに売るのではなく、本当にクライアントにとって意味のあることを提供する柔軟性が欲しかったんです。クライアントの本当の課題が何かを理解し、クライアントと共創した真のソリューションを実現するためです。あとは会社でどれくらい昇進できるかや、どれくらいのことができるかを考えたときに上限があるとわかったからですね。
Neuromagic: お二人が自分の進むべき方向を見直し、自分の意思を信じてThe SIXを始めたというのは、素晴らしいことですね。
Kandis: 私の人生は運に支配されてるんですよ。よく意味もなく、目の前に現れたものを試してみるんですが、なぜだか上手くいくんですよね。それに上手くいかなくとも、それが次のオポチュニティのために運が溜め込まれているような。それだけなんです。例えば、最初のキャリアであったアカウンティングがその後トレードマーケティングマネジャーとして価値のあるものになるとは一度も思っていなかったけど、それが当時の自分を成功させた鍵だったんです。だから運っていつも面白いなと思いますし、いつも運のことを考えてますよ。なんせ、The SIXを経営する素晴らしい経験を持つことができましたからね。
Neuromagic: The SIXと他のエージェンシーやコンサルタンシーとの違いは、どんなところにあるでしょうか?
Kandis: The SIXと他のデザインスプリントをやっている企業との違いは、Dianaと私はデザイナーではなく、元々マネジメントコンサルタントだったという点だと思います。私たちは多くの企業が対処しているビジネス課題を本当に理解することができるし、社内プロセスや組織デザインといった観点からも通常実行するのにどのような障壁があるかを理解することができるのです。私たちはユーザーのニーズだけを本当に理解するのでなく、ビジネスのコンテキストからも本当に理解することができますから、こうした組み合わせこそが私たちが成功した理由だと思います。
私たちが最初に注目したのはスタートアップとプロダクト課題でしたが、去年は大きな方向転換をし、ビジョンや組織デザインを中心にしようとしている企業、プロセスを再設計しようとしている企業と共に多く働く機会を得ることができました。私たちはデザインスプリントだけでなく、ビジネスと戦略のフレームワークからも実に多くのメソドロジーを活用して、短期間でクライアントが課題を解決できるようにしています。
デザインという役割の変化
Neuromagic: これまでの経験を通して、デザインエージェンシーの役割の変化をどのように感じていますか。
クリエイティブエージェンシーは、クライアントとの
共創の役割を果たすことがもっと寛容されるようになってきている。
– The SIX Co-founder Kandis O’Brien
Kandis: クリエイティブエージェンシーに関する私の観点がどう変わったかをお話ししますね。Uncle Ben’sと働いていたとき、大規模クリエイティブエージェンシーのクリエイティブディレクターと一緒にミーティングにいたときのことです。確か彼はUncle Ben’sのブランドボイスについて話していたんですよ。で、私は「えー、ちょっと待ってください、私たちマーケティングチームなんですけど。私たちがブランドボイスの担当ですよね?」なんて思ったのを覚えています。会社がブランドボイスを所有する、という考え方は本当に変わってきたと思いますね。クリエイティブエージェンシーが本当に自身のことをブランドボイスやデザインの決定者だと認識し始めた時期があったと思うんです。それに、今変化したと思うのは、クリエイティブエージェンシーは、クライアントとの共創の役割を果たすことがもっと寛容されるようになってきているということですね。
ですからデザインエージェンシーが会話の輪に入り、実行へと関与していることはわかるのですが、実際に戦略まできちんとやっているところはほとんどありませんでしたね。そこでもう1つ変わったと思うのは、以前はあまりビジネスで何を達成しようとしているのかという戦略面を考えずに、ユーザーの視点だけを考えているデザイナーやクリエイティブエージェンシーがいましたが、現在は変わってきているような気がするということですね。
Diana: デザインスプリントを提供するエージェンシーに関して言えば、やり方をどんどん進化させているように思いますね。デザインスプリントが最初に始まった時はプロダクトのためだけのものでしたが、今ではデザインスプリントの生みの親でさえ、その実践方法を進化させています。最初は文字通りにプロセスに従ってやっているだけでしたが、今はもっと柔軟性を感じますね。デザインスプリントはデザイン思考を基礎としてできたものですが、最初はこんなのデタラメだと思った人もいましたしね。私は、デザインスプリントの実践にはいくつもの異なる方法があると思っています。例えばKandisは、本当に内省的で思慮深い性格なので、それぞれのプロジェクトの特性を深く理解してカスタマイズしています。でも「私たちはデザイナーで、これが私たちのやり方なんだから、なんと言われようと変えずにこのままやりますよ」なんて言って結果的に意味のないものを作り出してしまう人もまだ多くいますよね。
Neuromagic: クライアントがデザインをバズワードだと思っていたり、それがためにその本当の力を信じてもらえず、真の結果との結びつきを見出してもらえないことはありますか?またこのような反応を得た経験はありますか?
Kandis: あれは私だったかしら?Dianaだったかしら?フルーツの会社で「私たちはデザイン思考という言葉は使いません。他の名前を使ってください」って言われたことがあったね。
Diana: あー。まあ別に良かったけどね。今日電話をもらったところの話をすると、私たちはプロダクトスプリントをするのですが、それは「Go-to-market Acceleration Workshop(GTMアクセラレーションワークショップ)」って呼ぶことにしたんです。GTMの組織のためのワークショップだし、このクライアントはプラットフォームデザインをアクセラレーションしたいと思っていますからね。だから、いいのよ。わざわざプロダクトデザインスプリントなんて呼ばなくてもいいんです。
クライアントがどれくらいトラディショナルかによって言葉を使い分ける。
クライアントが繋がりを見出せる言葉を選ばなければならないから。
– The SIX Co-founder Diana Liu
私たちは、意味の通じるものだったらなんでも使います。私たちがデザイン思考やGoogle Venturesのデザインスプリント、ビジネスモデルキャンバスのアプローチや方法を使っていると伝えることは重要ですけどね。ちなみに、クライアントがどれくらいトラディショナルかによって言葉を使い分けるようにはしています。シックス・シグマと呼んだり、ジョブ理論と呼んだり。私たちは、クライアントが繋がりを見出せる言葉を選ばなければなりません。私たちが一緒に仕事をする人の多くは企業勤めですから、同じ企業に10〜20年いて、固定概念を持っていることがほとんどです。そうなりたかったからなっているわけではなくて、時間の経過とともに自然と起きてしまうことなんですけどね。クライアントは皆このような制約を持っていますから、私はこれを打破しようとしていますし、Kandisもその固定概念から外れたようなインスピレーションを与えようとしていますよ。
Kandis: デザインに疑念を抱いているクライアントもいると思いますね。デザインは芸術性や創造性だと思っていて、問題解決とは思っていないからです。「デザイナーは何かきれいなものを作ってくれるんでしょ、デザイナーは私の抱えている問題を解決したりはしないわ」ってね。以前は、私もある意味デザイナーの役割はモノの見た目を素敵にすることだと思っていました。でも今思うのは、私たちはデザインを真の問題解決として捉えているけれど、世間の人々がその考えに追いつくまでには時間がかかるということですね。
ビジネスパーソンがビジネス用語で話し、
デザイナーがデザイン用語で話したら、伝えたいことも全然伝わらなくなる。
– The SIX Co-founder Kandis O’Brien
もう1つの課題は、デザイナーは必ずしもビジネスパーソンが理解できるようなボキャブラリーを持っていないということ。ですからもしビジネスパーソンがビジネス用語で話し、デザイナーがデザイン用語で話したら、伝えたいことも全然伝わらなくなってしまいます。
クライアントの期待を超えるワークショップ
Neuromagic: スプリントを実際に行い、ファシリテーションする際には、どれくらい事前準備を行いますか?
Diana: 大量よ、大量。
Kandis: 本当におかしいくらい、たくさんしますね。最初にデザインスプリントを始めたとき、誰もが敬うようなデザインスプリントの先駆者たちが「たくさん準備をする必要なんてないさ、月曜日に現れて、クライアントと一緒に作業して解決していけば良いだけ」なんて言っているのを聞きました。でもその後に絶対「でも最初のスプリントはうまくいかないかもね」って言うんです。で、私たちは最初のスプリントがうまくいかないのは準備を十分にしないからって思うようになりました。それにもし一回だけ試して、その一回がうまくいかなかったら、一体どのクライアントが2回目のオポチュニティーをくれるのよっていつも思っています。
Diana: そうね。他にも面白いと思うのは、みな準備をするとは言うけど、4時間くらいしか準備しないんですよね。で、「本来のデザインスプリントはこれを可能な限りリーンに(無駄のないように)するというのが肝だから事前準備なんてする時間はない」て言いながら、結局そのスプリントでガラクタみたいな結果を生み出すってわけです。
単にファシリテーションするだけでなく、
クライアント自身も気づいていないインサイトを共有する。
– The SIX Co-founder Diana Liu
私たちが事前準備をきちんとする理由の一つは、実際にワークショップをするときに他の会社との差別化になるから。だって、クライアントより流れを理解していますからね。だから私たちは単にファシリテーションするだけではなくて、クライアント自身も気づいていないインサイトをワークショップで共有するようにしています。クライアントはサイロ化されている環境で働いているし、お互い話したりはしないので、私たちが素早く立ち上がって、クライアントの言葉を使ってクライアントの代わりにストーリーを伝えるんです。クライアントはみなこれを高く評価してくれていますよ。私たちは技術的なレベル(=デザイン思考の実践者としての視点)ではなく、ユーザーレベル(=クライアントの視点)で然るべきことを行って、重要なことやビジネスレベルで重要なことについてインテリジェントに話していますからね。
Neuromagic: たくさん事前準備を行うんですね。ユーザーインタビューは事前に行っていますか?
Diana: 組み合わせて事前にやっているわ。私たちがリサーチフェーズで行うのは、ビジネスステークホルダーインタビューと、クライアントによる競合リサーチ、私たち自身で行った競合リサーチ、類似産業のリサーチを組み合わせたものです。この全てのリサーチがインスピレーションに繋がりますからね。これを2週間かけて全て洗い出すわけです。これをドキュメント化して、エンパシーウォールまたはインスピレーションウォールとも呼ばれる壁に貼り出します。こうすることで視覚化することができますし、「Ask the experts」(プロダクトデザインスプリントのプロセスの1つ。専門家へのインタビューを行う)を行う際に、これらの異なる要素について話し、クライアントがそれに反応することができるようになります。
リモートスプリントに対する誤解
Neuromagic: リモートでのデザインスプリントについて伺いたいのですが、以前よりオンラインで行うことが多くあったのでしょうか?それとも最近リモートに移行するようになったのでしょうか?
Diana: 完全にリモートのスプリントは行っていなかったけど、一部の参加者がリモートのスプリントは以前にもありました。でも5日間のスプリントではなかったですね。今はオンラインでも5日間のスプリントを行っています。完全にリモート、完全にデジタルです。90分間エクササイズをやって、1時間休憩をとるなんてよく聞くけど、私たちにはその時間はありません。クライアントが多額のお金を払ってますからね。私たちは朝10時から午後5時まで、対面の時と同じルールでやります。スマホなし、チャット禁止、デバイスの電源はオフ。それで30分の休憩をとるときにも、スクリーンを見るのは禁止。普段の仕事からは離れて、水飲んで、トイレ行って、体操して、お菓子をつまんで。それで戻ってくる時にはスプリントに集中できるようになっていなければなりません。
Kandis:リモートスプリントを実際にやってみて思ったことは、「リモートだと参加者は積極的に参加しないと思う」とかそういう認識は払拭すべきだってことですね。多くの人はこれまでにzoomミーティングでの良い体験がなく、5日間連続で1日7時間もzoomにいることに気が遠くなってしまうんだと思います。でも少なくとも私たちの経験上、ワークショップをやっているときzoomで参加者が消極的になってるようには見えません。実際、もっと積極的になってるような気がします。参加者は本当に注意をよく払っていると思いますし、私たちのワークショップはアクティビティを基にしているから、参加者はMuralで作業して、書き込まなきゃいけないんです。Muralでは参加者が本当に作業しているか見えてしまいますからね。私はリモートでも参加者は高い意欲を持っていると思いますし、私たちがこれまでやってきたワークショップの中でも楽しさはかなり高い気がしますね。
Diana:それは私たちが面白いからに決まってるじゃない!
The SIXのおふたり、Dianna、Kandis、インタビューにお答えいただきありがとうございました。The SIXについてもっと知りたいという方はぜひウェブサイト(英語)やブログ(英語)も併せてご覧ください。

岩田エレナ
デジタルコンテンツプロデューサー
アメリカ出身。メディアコミュニケーションの学士号を取得後、2019年ニューロマジックに新卒入社。現在は自社のSNS企画運営に加えて、サービスデザインに関する記事の執筆、インタビュー、撮影までをマルチにこなす。
