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生物多様性戦略 ~EUの政策~

   

気候変動、生息地の消失、天然資源の枯渇が人類の課題である今、生物多様性戦略の策定は、長期的な繁栄を目指す企業にとって重要な課題であり、死活問題ともいえます。EUは2030年までに欧州の生物多様性を回復に向かわせ、人々、気候、地球に利益をもたらすことを目指しています。いくつかのEUの具体的な施策をみてみましょう。

1 ファーム・トゥ・フォーク


ファーム・トゥ・フォークは、EUの食料システムをよりサステナブルで健康的、かつ強靭なものにするための戦略です。2050年までにEUを気候ニュートラルにすることを目指す、欧州グリーン・ディールの一環でもあります。この戦略の目標のいくつかは、農薬、抗生物質、肥料の使用を減らし、有機農業と植物ベースの食生活を促進し、アニマルウェルフェア(動物福祉)を向上させることにあります。しかしこの戦略は現在、農家、産業界、加盟国といったさまざまな利害関係者からの政治的な課題や遅れに直面しています。

参考例:https://www.europarc.org/european-policy/farm-to-fork-protectes-areas/ -farm-to-fork/

2 ゼロ汚染政策


EUのゼロ汚染政策は、2050年までに水、大気、土壌の汚染を削減する政策です。欧州グリーン・ディールの一環として、有害な化学物質や汚染物質から市民と環境を守ることを目的としています。こちらに基づき、欧州委員会はよりクリーンな空気と水に関する規制強化を提案しています。この政策はグリーンビジネスの機会も創出し、COVID 19経済危機からの回復におけるEUの競争力を強化し、クリーン&循環型の経済への移行を支援することで、企業にプラスの影響を与えています。しかしその一方で、企業が遵守しなければならない汚染防止と管理のための新たな規則や基準を課す、という可能性もあります。

参考例:https://environment.ec.europa.eu/strategy/zero-pollution-action-plan_en

3 EUのグリーン・シティ政策


欧州、および世界における持続可能な都市開発を促進することを目的とした一連の取り組みとアクションプランです。

「グリーン・キャピタル賞」と「グリーン・リーフ賞」  

2010年から始まった、優れた環境記録と都市環境改善への取り組みを示す都市を表彰するもので、EUにおいて権威のある賞として認知されています。 「European Green Capital Award(グリーン首都賞)」は1都市、「グリーンリーフ賞」は人口2万人以上9万9000人以下の規模の都市から1都市または2都市まで選出されます。どちらの賞も年に1回発表され、それぞれ60万ユーロ、20万ユーロが付与されます。2024年の「European Green Capital Award」にはスペインのバレンシア、「European Green Leaf Award」にはデンマークのエレシノアと、スロベニアのヴェレンジェが選出されました。(※2)

※2:Winning cities – European Green Capital & European Green Leaf Awards https://environment.ec.europa.eu/topics/urban-environment/european-green-capital-award/winning-cities_en

都市環境ベンチマーク・ツール                            

各都市の環境パフォーマンスを欧州の他都市と比較することができる指針

グリーンシティ・アコード                              

大気の質、水質、廃棄物管理、生物多様性、騒音レベルを改善することにより、都市をより清潔で健康的なものにすることを誓約する運動

新しい都市へむけての宣言と行動                           

都市ガバナンス、社会的包摂、グリーンおよび循環経済、気候回復力、都市モビリティ、デジタル移行にフォーカスした 6 つのコミットメント

生物多様性戦略を策定するためにサイトまとめ


生物多様性戦略を策定する際に、役立つサイトをまとめました

ビジネスと生物多様性のプラットフォーム

企業が生物多様性への配慮を業務に組み込むのに役立つ「ケーススタディ」「ツール」「ガイドライン」などの豊富なリソースを提供しているサイトです。さまざまな業界に関する情報と考察を提供し、世界中のベスト プラクティスや成功事例を紹介しています。 企業、NGO、政府間の協力を推進します。          

ウェブサイト:https://www.business-biodiversity.eu

企業のための生物多様性指標

2022年、日本の証券取引所はコーポレートガバナンス・コードを更新し、TCFD開示に準拠したサステナビリティレポート(報告)をプライムマーケット企業に対して実質的に義務化しました。グローバルなサステナビリティ基準への準拠が求められる中で、Global Reporting Initiative (GRI) は、企業が生物多様性への取り組みを効果的に報告するためのガイドラインを提供しています。 これらの指標は、生物多様性保全への進捗状況を測定し、レポートするのに役立ちます。 サステナビリティレポートに組み込むことで、投資家にむけて企業はその取り組みを明確に、透明性を持って示すことができます。       

ウェブサイト:https://www.globalreporting.org/standards/sustainability-reporting-standards/guidance/biodiversity/

生物多様性保全ハンドブック

生物多様性保全に関心のある企業に向け、包括的なハンドブックを提供しています。  このハンドブックは、生物多様性の背後にある科学、政策上の考慮事項、および実際の事例研究についての洞察を提供し、戦略策定から実践までのさまざまな側面をカバーしており、企業にとって貴重なリソースとして機能します。           

ウェブサイト:https://www.cambridgeconservation.org/wp-content/uploads/2021/02/Biodiversity_Conservation_Handbook.pdf

おわりに


サステナビリティ関連ではインプット・アウトプットともに膨大なデータが行き交います。適切なデータ管理と分析は、サステナビリティ推進に不可欠です。ニューロマジックはお客様のニーズに合ったデータ管理戦略を共創し、持続可能な未来への道筋を示します。サステナブルな実践に関する専門家はガイダンスとアドバイスを提供し、データ管理プロセスを改善します。これにより、企業は生物多様性への配慮を強化し、経済成長と環境保全を調和させることが可能となります。

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