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世の中は急速に変化しています。これまではブランドの言うことを鵜呑みにしていた消費者が、企業に行動を伴う価値感を求めるようになっています。
消費者はブランドが設定した目標を実際にどのように達成しているのか知りたいと思っていて、単に華々しい広告キャンペーンを展開するのではなく、その裏のリアリティを求めています。語られるストーリーだけではなく、実行するブランドが求められているのです。Havas社の調査によると、今日の75%のブランドは消滅しても人々には気にされず、簡単に取って代わられるといいます。また、信頼できると見做されているブランドは半数以下(47%)です。
気候変動、#MeToo運動、ブラック・ライブス・マター、ジェンダー・アイデンティティ、ヘイトスピーチなどの社会問題について人々は声を上げるようになっています。消費者の62%は、自分が情熱を傾けている問題のために企業も立ち上がることを望んでおり、消費者の66%が、ブランドの最も魅力的な要素の一つは透明性であると考えています*。消費者はブランドにも声を上げることを求めているのです。
これから実際にパーパス、すなわち目的を持って活動している4つのブランドを紹介します。既存の企業であれ新興企業であれ、ひょっとしたら以下の事例が自社のブランドのパーパスを考えるきっかけとなるかもしれません。

パーパス・ブランドの例
パタゴニア
パタゴニアはパーパス・ブランドの代表格です。2018年、彼らは自社のミッションを「最高の製品を作り、不必要な害を与えず、ビジネスを使って環境危機への解決策を鼓舞し、実行する」から、「パタゴニアは地球を救うためにビジネスをしている」という非常にパーパスドリブンなミッションに変更しました。

彼らの取り組みの一つに「1% for the Planet」があります。
1985年以来、同社は売上の1%を自然環境の保護と回復のために寄付しています。また、他の企業にもこの1%運動への参加を呼びかけています。これまでに1億4,000万ドル以上の現金および物品を国内外の草の根環境保護団体に寄付し、地域社会に貢献してきました。
ベン&ジェリーズ
ベン&ジェリーズの社会的ミッションは、会社を革新的な方法で活用し、世界をより良い場所にすることです。ベン&ジェリーズは、その中心的理念を指針とし、ビジネスのあらゆるレベルにおいて、人権と尊厳の向上、歴史的に疎外されてきた地域社会の社会的・経済的正義の支援、地球環境の保護と回復を追求しています。

ベン&ジェリーズは、それぞれの問題に詳しいNGOやその他のパートナーとの協力を通じてこれらの問題に取り組んでいます。ベン&ジェリーズは、性的少数者の権利、人種差別問題、気候変動問題など、さまざまな活動を積極的に支援しています。
イケア
スウェーデンの大手家具メーカーイケアは、サステイナビリティへの取り組みを積極的に行っています。「H22」と呼ばれるプロジェクトはその好例です。「H22」は、スウェーデンの都市ヘルシングボリを舞台に、イケアとヘルシングボリ市民、そして地元や世界のパートナーと共同で、新しい生活、コミュニティと販売のアイデアを展開し、「家」の定義を探る取り組みです。

イケアは、リサイクルショップの活用、使い捨てプラスチックの排除、2025年までのゼロエミッション宅配、2030年までに一つの製品ごとの気候変動への影響を70%削減するといった循環型社会を目指す原則にも取り組んでいます。
アディダス
サステイナビリティとファッションは、これまであまり良い関係ではありませんでした。しかし、まだ手つかずの大きな可能性が残されており、アディダスはその実現に取り組んでいます。2024年からは再生プラスチックのみを使用し、2050年までにはすべての生産工程を気候変動に影響しない内容に変えることを目指しています。

サステイナビリティを推進し企業文化の一部にしたいと考える同社は、新しい社員研修「How to Think and Act Sustainably(サステイナブルに考え、行動する方法)」を実施し、社員が日々の行動を通じてよりサステイナブルな世界に貢献する機会を提供しています。
この4週間の研修は、自習と世界中の同僚との対話を組み合わせたもので、従業員に、異なる見方、異なる出発点、変化をもたらす多様な可能性を通して、サステイナビリティの実践方法を気づかせる内容です。
ラッシュ
ラッシュは設立当初からサステイナビリティに投資しており、それは同社のDNAの一部となっています。固形のシャンプー、コンディショナー、クレンジングバームなどを作り、水の使用量やプラスチック包装を削減しています。1980年以来この分野で革新的な活動を続けてきた同社は、この分野のリーダー的存在と言っても良いでしょう。
2021年には、同社はすべてのソーシャルメディアのアカウントを閉鎖することで再びリーダーの役割を果たしました。ラッシュのCEOマーク・コンスタンティン氏は、「私は一生をかけて自社製品に有害な成分を入れないように努力してきました。ソーシャルメディアを利用することで我々が危険にさらされているという圧倒的な証拠があるのです」と話しています。この措置は、Facebookについて元プロジェクトマネージャーのフランシス・ホーゲン氏が内部告発し、その現状が明らかになったことを受けてのものです。

他のブランドも追随し、ソーシャルメディア企業に説明責任を持たせる革命を起こすのか、この結論はまだ出ていません。
まとめ
経験や専門知識を生かして目標達成を支援してくれる外部パートナーとの協力や、従業員を教育して変革の一翼を担うよう促すことなど、より大きな動きに踏み出すための可能性はたくさんあります。行動を起こして、その姿勢を顧客と共有しましょう。
パーパスドリブンなブランドになりたい、とお考えの方。MBiは、”Meaningful”なブランドアイデアを生み出すHavasのオリジナルブランドフレームワークです。今回HavasとNeuromagicがコラボレーションし、両社の専門家がMBiワークショップをワンストップでサポートすることが可能となりました。ブランドが消費者にもたらす機能的、個人的、社会的なベネフィットを考慮しながら、新たな洞察を導き出すことができます。
あなたの組織の成長を促す、パーパスドリブンな、意味のあるブランド戦略を構築する方法について、ぜひご相談ください。
*アクセンチュア

ベティナ・メレンデス
サービスデザイナー
サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)リーダー
ベネズエラ出身。オランダで育ち、ベルリンを拠点に活動。現在はサービスデザイン部門でSXをリードし、日本とヨーロッパをつなぐ架け橋として活躍。彼女にとってサステナビリティは非常に大切なことであり、人々と地球の福祉に対する情熱を持って取り組んでいる。

