サステナの”始め方がわからない”は全企業の悩み

サステナビリティ推進の現場で、最も多く聞かれる言葉があります。それは「何から手をつければいいのかわからない」という声です。この悩みは、上場企業でも中堅企業でも、業種を問わず共通して現れます。興味深いのは、この問題が担当者の能力や経験の有無とは無関係に発生していることです。

むしろ、熱心に情報収集をしている企業ほど、混乱に陥っている傾向すらあります。なぜなら、サステナビリティ領域は「情報の複雑さ」そのものが本質的な壁となっているからです。担当者の能力が足りないのではなく、情報が多すぎて整理できない状態なのです。

今まで支援してきたほとんどの企業は、規模の大小に関わらず「何からやるべきか」という問いを抱えていました。これは決して珍しいことではありません。霧の中で歩き出すのが、サステナビリティ推進の普通のスタートラインなのです。

重要なのは、この状況を「自社だけの問題」と捉えず、構造的な課題として認識することです。霧の中にいるのは、あなたの会社だけではありません。

情報過多なのに判断材料がないという矛盾

サステナビリティを取り巻く環境は、まさに情報の洪水です。GRI(Global Reporting Initiative)、CDP(Carbon Disclosure Project)、EcoVadis、TCFDなど、国際的な基準や評価機関が乱立し、それぞれが異なる視点で企業に情報開示や取り組みを求めています。加えて、国内では有価証券報告書へのサステナビリティ情報記載義務化、サプライチェーン排出量の算定要求など、規制も次々と増えています。

この状況で起きているのが、「情報は山ほどあるのに、自社にとって何が重要かがわからない」という矛盾です。セミナーに参加すれば「これが重要」と言われ、別のコンサルタントに相談すれば「まずはこちらから」と異なる提案を受ける。結果として、「やった感はあるが、実際には進んでいない」という状態が生まれます。

この不安の正体は、実は「優先順位が不明」という一点に集約されます。何もやっていないから不安なのではなく、今やっていることが本当に正しいのか、他にもっと優先すべきことがあるのではないかという疑念が消えないのです。

全体像が見えないまま部分的に手をつけても、それが全体の中でどこに位置づけられるのかわからなければ、達成感も方向性も得られません。だからこそ、「始め方がわからない」という悩みは、実は「全体をどう把握するか」という問いに置き換えるべきなのです。

最初の一歩は”外部評価の構造”を知ること

では、どこから始めるべきなのか。その答えは、「外部評価が何を見ているのか」を理解することにあります。

多くの企業は、サステナビリティ推進を「個別施策の実施」だと捉えています。太陽光パネルを設置する、プラスチック削減に取り組む、ダイバーシティ研修を実施する。もちろんこれらも重要ですが、外部評価機関が本当に見ているのは施策そのものではありません。

彼らが評価しているのは、「企業がサステナビリティをどのようにマネジメントしているか」という構造です。つまり、方針があるか、目標が設定されているか、責任者が明確か、進捗をモニタリングしているか、PDCAが回っているかーーこうしたマネジメントの仕組みを評価しています。

たとえばEcoVadisの評価項目を見ると、「環境方針の有無」「目標設定とKPI」「担当部署と責任者」「内部監査の実施」といった項目が並びます。これらはすべて、施策の中身ではなく、企業の管理体制を問うものです。

したがって、最初にやるべきことは個別施策に飛びつくことではなく、「全体をつかむこと」です。自社のサステナビリティ推進において、どんなテーマがあり、どの基準に対応すべきで、どの評価を受けるのか。その全体像を把握することが、霧を晴らす最初の光となります。

ロードマップが”霧の中の灯台”になる理由

全体を把握した後に必要なのが、ロードマップです。ロードマップとは単なるスケジュール表ではありません。それは、「方向づけ」「優先順位」「責任範囲」を明確にする設計図です。

多くの企業でサステナビリティ推進が迷走する原因は、この3つが曖昧だからです。方向性が定まっていないため、担当者は毎回判断に迷います。優先順位がないため、緊急度の低いタスクに時間を奪われます。責任範囲が不明確なため、部署間で押し付け合いが起こります。

これらはすべて、「役割不在」と「情報の非対称性」という構造的な問題から生じています。誰が何を決めるのか、どの部署が何を担当するのか、どの情報を誰が持っているのか -これらが整理されていなければ、どれだけ優秀な人材を集めても前には進みません。

ロードマップは、こうした構造的な欠陥を補う機能を持っています。たとえば、「第1フェーズでは現状把握と方針策定、第2フェーズでは目標設定と体制構築、第3フェーズでは施策実行とモニタリング」といった段階を示すことで、今やるべきことが明確になります。

さらに、各フェーズにおいて誰が責任を持ち、どの部署が関与し、どんな成果物を出すのかを定義することで、迷いが消え、推進力が生まれます。ロードマップは、霧の中で進むべき方向を照らす灯台のような存在なのです。

「迷っている状態」は悪ではなく、設計で解消できる

ここまで読んで、もしかしたら「うちは出遅れている」と感じた方もいるかもしれません。迷っている状態は、決して悪いことではありません。それは、むしろ自然な状態です。

企業が迷うのは、担当者の能力不足でも、経営層の理解不足でもありません。それは、サステナビリティという領域が持つ構造的な複雑さが原因です。複数の基準、多様なステークホルダー、広範なテーマ、長期的な視点。これらすべてを同時に扱わなければならない中で、誰もが迷うのは当然のことなのです。

重要なのは、この迷いを「能力の問題」ではなく「構造不足の問題」として整理することです。つまり、情報を整理し、全体像を可視化し、優先順位をつけ、責任を明確にする -こうした「設計」によって、迷いは解消できるのです。

私たちが提供しているのは、まさにこの設計支援です。具体的には、以下のステップで進めます。

ステップ1:文書精査
既存の方針、報告書、社内資料を精査し、現状を正確に把握します。何ができていて、何が不足しているのかを明らかにします。

ステップ2:診断
外部評価の視点から、自社の現状を客観的に診断します。EcoVadisやCDPなどの評価基準に照らし、どこが強みで、どこに課題があるのかを特定します。

ステップ3:優先順位の設定
全てのテーマを同時に進めることは不可能です。事業特性、ステークホルダーの期待、リスクと機会を考慮し、優先的に取り組むべきテーマを明確にします。

ステップ4:体制設計
推進体制を設計し、各部署の役割と責任を定義します。誰が意思決定をし、誰が実務を担い、誰が報告を受けるのか。この構造を明確にすることで、組織全体が動き出します。

このプロセスを経ることで、霧は晴れ、進むべき道が見えてきます。サステナビリティ推進は、決して難解なパズルではありません。それは、正しい設計があれば、誰もが前に進める道なのです。

今からできること

もし、いま「どこから手をつければいいのか」と迷っているのであれば、それはごく自然なことです。

その悩みを一人で抱え込む必要はありません。まずは全体像をつかむところから始めてみませんか。

私たちは、方向が見えず立ち止まってしまう企業に、最初の一歩を踏み出すための道筋をご一緒に描いていきます。

貴社のサステナビリティ推進を、私たちと一緒に形にしていきましょう。

どうぞお気軽にお問い合わせください。

※サステナビリティ推進に関するお問い合わせは、上記フォームより「ロードマップ作成支援」をご選択ください。