世界オゾン層保護デーから考える。環境変化を「事業機会」に変える企業の視点

9月16日は「オゾン層保護のための国際デー(International Day for the Preservation of the Ozone Layer)」です。

オゾン層破壊と聞くと、少し昔の環境問題というイメージを持つ方もいるかもしれません。

1980年代、冷蔵庫やエアコン、スプレーなどに広く使われていたフロン類(CFC)がオゾン層を破壊し、有害な紫外線の増加による健康や生態系への影響が懸念されるようになりました。
その後、1987年に採択された「モントリオール議定書」のもと、世界各国がフロン類の削減に取り組み、現在ではオゾン層は長期的な回復傾向にあると報告されています。

この取り組みは、科学的な知見をもとに国際社会が協力し、地球規模の環境課題に対応した成功例の一つとして知られています。
しかし、この歴史から企業が学べることは、「環境保護は大切」ということだけではありません。
注目したいのは、科学的知見の蓄積によって社会の認識が変わり、それがルールや市場の変化につながり、企業の事業環境そのものを変えていったことです。

社会課題が「事業課題」に変わるとき

かつてフロン類は、安定性が高く扱いやすい物質として、幅広い産業で利用されていました。
しかし、環境への影響が明らかになるにつれ、社会の認識が変わり、国際的な規制が進みます。それまで当たり前に使われていた物質が規制対象となり、企業は製品設計や技術、設備、調達などの見直しを求められるようになりました。

これは、現在企業が向き合っているサステナビリティ課題にも共通する構造です。
気候変動、資源循環、人権、自然資本なども、規制だけでなく、顧客からの要求や調達条件、投資判断など、さまざまな形で経営に影響を及ぼすことがあります。

そして、こうした変化はある日突然始まるわけではありません。科学的知見、政策や規制の議論、顧客や投資家の関心、技術開発など、さまざまなところに変化の兆しが現れます。
そのため、サステナビリティを考える際には、外部で起きている変化が自社の事業とどこで関係するのかを捉えることが重要になります。

規制の変化を、新たな市場につなげたハネウェル

オゾン層保護に向けた規制は、企業に対応を求める一方、新しい技術や市場が生まれるきっかけにもなりました。
その一例が、米国のテクノロジー企業ハネウェル(Honeywell)です。

モントリオール議定書によってCFCの段階的な廃止が進み、さらに2016年のキガリ改正では、温室効果の高い代替フロン(HFC)についても段階的な削減が決まりました。
ハネウェルは10年以上前から低GWP(地球温暖化係数)技術の必要性を見据え、「Solstice®」の研究開発や生産能力の拡大を進めてきました。同社によると、関連する研究開発や新規生産能力への投資額は累計10億ドルにのぼります。

Solstice®技術は、自動車の空調システムやスーパーの冷凍冷蔵設備、建築用断熱材など、さまざまな用途で活用されています。また同社は、その世界的な普及によって、2021年時点で2.5億トン以上のCO2eに相当する潜在的な排出の回避につながったとしています。
ここで注目したいのは、単に「新しい規制に対応した」ということではありません。
社会や市場の変化を捉え、それを技術開発や投資判断につなげたことです。

環境対応を必要になってから対応するコストとして捉えるのか。それとも、将来の市場や顧客ニーズを考える材料として捉えるのか。
同じ変化でも、企業の捉え方によって、その後の選択肢は変わってくるかもしれません。

次に「事業課題」になるテーマは何か

もちろん、将来の規制や市場の変化をすべて正確に予測することはできません。また、あらゆるサステナビリティ課題に一度に取り組む必要があるわけでもありません。

だからこそ、まず自社の事業を起点に整理してみることが大切です。

たとえば、次のような問いが考えられます。

  • 自社の事業は、環境や社会とどのような関係を持っているのか
  • 規制や市場、顧客要求が変化しつつある領域はどこか
  • その変化は、自社にどのようなリスクや機会をもたらすのか
  • 自社の技術や強みを生かして提供できる、新しい価値はないか

社会で注目されているテーマをそのまま自社の重要課題とする必要はありません。
重要なのは、外部で起きている変化と自社の事業との関係を整理し、自社にとってどのテーマを優先して考えるべきかを見極めることです。

そのうえで、必要に応じて戦略や具体的な行動へと落とし込んでいくことが、サステナビリティを経営に取り入れていく一つの方法といえます。

変化の兆しを、経営の判断につなげる

オゾン層問題への対応を振り返ると、科学的な発見から社会の認識が変わり、国際的なルールが生まれ、技術や市場が変化していったことが分かります。

企業にとって重要なのは、「次に何が規制されるのか」を当てることではないでしょう。
社会や環境の変化を捉え、自社にとって何が重要なのかを整理し、リスクと機会を見極め、経営判断や具体的な行動につなげていくことです。

サステナビリティは、「求められたから対応するもの」だけではありません。
これからの事業環境がどのように変化していくのか。そのなかで、自社はどこに備え、どのような価値を提供できるのか。
そうした問いを考えるための一つの視点として、サステナビリティを捉えることもできるのではないでしょうか。

サステナを事業や経営につなげるには

ニューロマジックでは、事業や経営とのつながりを整理していくための支援を行っています。

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