「サステナビリティのKPIを設定しましょう」
企業のサステナビリティ推進の場面で、この言葉を耳にする機会は増えています。 一方で、KPIの議論が始まると、現場で小さな違和感が生まれることもあります。数字は決まっているものの、「何を変えればいいのか」が見えにくいと感じられることはないでしょうか。
CO₂削減目標や女性管理職比率など、目標値が設定されていても、その数字が日々の業務とどのようにつながるのかが、やや曖昧なままになっているケースも見られます。会議ではKPIが報告されるものの、現場の意思決定には繋がっていない。こんな状態は、サステナビリティ推進の現場では珍しいものではありません。
KPIは、本来、組織の行動を前に進めるための重要なツールです。ただし、必ずしも最初に置くべきものとは限らない場合もあります。実際には、組織の方向性や活動の構造がある程度見えてきたときに、はじめて機能しやすくなることも多いと考えられます。
本記事では、サステナビリティKPIについて考えるうえでよくある議論と、その整理の仕方について、ニューロマジックが大切にしている「設計」という視点から考えていきます。
よくあるケース:数字だけが先に決まる
サステナビリティのKPIを検討する場面で、よく見られるのがこのような流れです。
「CO₂排出量を30%削減する」
「女性管理職比率を20%にする」
こうした目標値が先に決まり、その後に達成方法を考えていきます。議論の進め方としては、ごく自然なものかもしれません。もちろん、目標値を掲げること自体に問題があるわけではありません。ただ、この順序で議論が進むと、現場では次のような状態が生まれることがあります。
「誰が、何を変えれば、この数字が動くのか」が見えにくいのです。結果として、KPIは存在しているものの、日々の業務との接続が弱いままに。数字はあるけれど、行動の指針としては機能しにくい状態です。こうした構図は、サステナビリティの取り組みにおいてもよく見受けられます。この背景には、数字そのものというよりも、「設計の順序」が関係している可能性があります。
数字ではなく、行動から設計する
KPIを考える際には、従来とは違う議論の進め方で整理することをお勧めします。まず、「どの活動がこのテーマに影響しているのか」を見ていきます。
例えばCO₂排出量であれば、
・エネルギー調達
・設備や生産プロセス
・物流
・サプライヤー
といった複数の要素が関係しています。
次に、それぞれの領域で、どのような行動が数字を動かし得るのかを考えます。設備更新なのか、再エネ導入なのか、調達方針なのか、といった視点です。
そして最後に、その変化を測る指標としてKPIを置きます。
つまり、活動 → 変化 → 指標(KPI)という順序になります。
この流れで整理すると、KPIは単なる目標値ではなく、組織の行動とつながった指標として位置づけることができます。現場にとっても、「この数字が動くとき、どのような変化が起きているのか」という理解が生まれやすくなります。
KPIは「置くもの」ではなく、設計するもの

私たちは、KPIを単独の作業として扱うことはあまりありません。サステナビリティ推進の構造を設計するプロセスの一部として捉えています。
まず現状を整理し、どのような取り組みがあり、どのようなデータがあり、どこにギャップがあるのかを確認します。そのうえで、どの活動がどのような変化を生み、その変化をどう測るのかを整理していきます。そうした流れの中で、KPIが徐々に定まってくることが多いと考えています。
私たちがお伝えしているのは、次のような考え方です。KPIは「置くもの」ではなく、「機能する状態を設計するもの」です。
数字が会議の中で自然に議論され、意思決定の材料として使われ、現場の行動とつながる。
そのした状態が生まれてはじめて、KPIは組織の中で意味を持ち始めます。
サステナビリティの推進においても同様に、数字そのものだけでなく、「その数字が動く構造」に目を向けることが重要です。
KPI設計に迷ったときは

サステナビリティKPIの設計・見直しをする際、「どこから整理すればよいのか」と悩まれる企業も少なくありません。
ニューロマジックでは、現状診断から体制設計、データ整理、KPI設計まで、各フェーズに応じた伴走支援を行っています。
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