チョコレートが高くなった理由をたどると、サステナビリティが見えてくる

最近、チョコレートが高くなったと感じませんか。

「カカオが不作だから」「気候変動の影響らしい」

そんな話を耳にしたことがある方もいるかもしれません。では、その背景をさらにたどっていくと、何が見えてくるのでしょうか。

10月16日の「世界食料デー(World Food Day)」をきっかけに、一枚のチョコレートから、身近な商品とサステナビリティとのつながりを考えてみます。

「カカオが不作だから」だけではない

世界のカカオ生産は、西アフリカに集中しています。FAOによると、コートジボワールとガーナの2か国だけで、世界供給の3分の2以上を占めています。

2023/24年度には、世界のカカオ生産量が前年度から13.1%減少しました。国際ココア機関(ICCO)は、西アフリカの主要生産国で、天候不順や病害、害虫などが生産に影響したとしています。生産量が減れば需給が変わり、国際価格にも影響します。

ただ、価格を左右するのは収穫量だけではありません。

例えば、ガーナとコートジボワールでは、政府や公的機関がカカオの生産者価格に関与しています。2025年から2026年にかけては、両国の価格差や為替、国際価格の変動などを背景に、ガーナでも生産者価格の引き上げや見直しが行われました。

さらに、カカオの国際価格の変化が、そのまま店頭のチョコレート価格に反映されるわけでもありません。私たちの手元に届くまでには、加工、流通、小売など、いくつもの段階があります。

一枚のチョコレートの価格をたどるだけでも、その背景には、カカオの収穫量から世界の需給、政策、為替、流通まで、さまざまな要素がつながっていることが見えてきます。

さらにたどると、自然が見えてくる

では、そもそもなぜカカオの収穫量は変わるのでしょうか。

カカオは、気温や雨、土壌などの自然条件に支えられて育つ作物です。天候の変化や病害、害虫の広がりは、生産量にも影響します。

一方で、カカオ生産そのものが自然に影響を与えることもあります。西アフリカでは、カカオ生産が森林減少の要因の一つとなってきました。

つまり、カカオ生産は自然に「依存」すると同時に、自然に「影響」を与えているのです。

企業と自然との関係を考えるときも、自社が自然に与える影響だけでなく、事業がどのような自然に支えられているのかという視点が重要です。チョコレートであれば、カカオを育てる気候や土壌なども、事業を支える基盤の一つといえます。

その先には、生産者の生活がある

さらにサプライチェーンをたどると、カカオを生産する農家に行き着きます。

ガーナやコートジボワールなどのカカオ生産では、農家の低所得や児童労働、森林減少などが長年の課題となっています。ただ、これらはそれぞれ独立した問題なのでしょうか。

天候が変われば、収穫量が変わり、農家の収入にも影響します。価格政策の変化は、カカオをどこで売るかという判断に影響し、その先では企業の調達やコストにもつながっていきます。

企業では、気候変動は「環境」、児童労働は「人権」、カカオ価格は「調達」、為替や政策は「事業リスク」と、それぞれ異なるテーマとして扱われているかもしれません。

課題を分類し、それぞれの担当部署で取り組むことは必要です。一方で、それぞれの課題がどのようにつながっているのかを見失わないことも大切ではないでしょうか。

サステナビリティを、事業から逆にたどってみる

気候変動、人権、生物多様性、資源循環――。

サステナビリティに取り組んでいると、「対応しなければならないテーマが増え続けている」と感じることもあるのではないでしょうか。

そんなときは、「次は何に対応するか」を考える前に、一度、自社の商品やサービスを起点に考えてみるのも一つの方法です。

この商品は、何がなければ成り立たないのか。
誰に支えられているのか。
どのような自然や社会とつながっているのか。
そして、そのどこかが変化したら、自社には何が起きるのか。

一枚のチョコレートからも、気候や森林、生産者の生活、国際価格や政策、企業の調達まで、さまざまなつながりが見えてきました。

サステナビリティへの取り組みは、新しい課題を一つずつ追加していくことだけではありません。事業を起点に考えてみることで見えてくるのは、もともと事業を支えていた自然や人、社会との関係なのかもしれません。

世界食料デーをきっかけに、まずは自社の商品やサービスを一つ選び、その背景にあるつながりを考えてみてはいかがでしょうか。

サステナビリティを、事業から考える

ニューロマジックでは、企業の事業活動を起点に、自然や社会、サプライチェーンとの関係を整理し、重要なリスクや機会の特定から戦略策定、実行までを支援しています。

「サステナビリティの取り組みは増えているけれど、事業とのつながりが見えにくい」。そんなときこそ、一度、事業そのものから整理してみることが、自社にとって本当に重要なテーマを見つける第一歩になります。

個別の取り組みを事業や経営につなげ、サステナビリティ戦略へと発展させたい方は、ぜひご相談ください。

※こちらのブログ内容に関するご相談は、上記のお問い合わせフォームから「その他」をお選びの上、ご相談ください。

参照文献・サイト:

・FAO, “A new FAO report examines how shocks affect global coffee, cocoa and tea markets and outlines policy options to address structural vulnerabilities” (2026)
https://www.fao.org/newsroom/detail/a-new-fao-report-examines-how-shocks-affect-global-coffee–cocoa-and-tea-markets-and-outlines-policy-options-to-address-structural-vulnerabilities/en

・Ghana Cocoa Board (COCOBOD), “Press Release on Cocoa Sector Reforms for Financial Viability and Long-Term Sustainability” (2026)
https://cocobod.gh/news/press-release-on-cocoa-sector-reforms-for-financial-viability-and-long-term-sustainability

・International Cocoa Organization (ICCO), “November 2024 Quarterly Bulletin of Cocoa Statistics”
https://www.icco.org/november-2024-quarterly-bulletin-of-cocoa-statistics/

・FAO, “Sustainable Cocoa Initiative”
https://www.fao.org/investment-centre/about-us/how-we-work/investmentplanningpolicy/sustainable-cocoa-initiative/en

・ILO, “Climate Cocoa Project: Results at a Glance” (2026)
https://www.ilo.org/publications/climate-cocoa-project-results-glance