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「超ファストファッション規制法」可決も、店には長蛇の列。フランスが向き合うファッションと環境の両立

「ファッションの国」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのがフランスではないでしょうか。パリ・コレクションに代表される世界的ブランド文化、洗練されたデザイン、美意識。フランスは長年、世界のファッションを牽引してきました。

近年、そのフランスが力を入れているのが「環境」と「ファッション」の両立です。

大量生産・大量消費が前提となった現代のファッション産業は、環境負荷が大きい産業の一つとされています。衣類の大量廃棄、水資源の消費、化学物質による汚染、CO₂排出――。こうした課題に対し、フランスは“おしゃれ”を守るだけではなく、「どう作り、どう売り、どう消費するか」までを法律や制度で変えようとしています。

「着ること」の裏側にある環境負荷

1990年代後半から2000年代にかけて、低価格で次々と新商品を展開する「ファストファッション」が世界的に拡大しました。多くのブランドが、“最新トレンドを短期間で大量生産・大量販売するビジネスモデル”を広げたことで、消費者は手頃な価格で流行を楽しめるようになりました。

しかしその一方で、大量生産・大量消費を前提とした構造は、大量の衣類廃棄や資源消費を生み出し、環境負荷の高さが問題視されるようになりました。

さらに近年では、「ウルトラファストファッション」も急拡大しています。SNSやアルゴリズムを活用しながら、従来よりさらに短いサイクルで新商品を展開するビジネスモデルは、衣類の大量生産・大量消費・大量廃棄をさらに加速させる可能性があるとして議論されています。

このような課題に対し、フランスは近年、さまざまな制度や規制を導入してきました。では、具体的にどのような取り組みを進めているのでしょうか。

2026年からPFAS含有衣類を規制

PFAS(ピーファス)とは、有機フッ素化合物の総称です。水や油をはじく性質を持つことから、防水ウェアやアウトドア用品、靴、化粧品など幅広い製品に利用されてきました。

一方で、PFASは自然環境中で分解されにくく、人体や生態系に蓄積しやすいことから、「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれています。そのため、健康や環境への影響を懸念する声が高まり、世界各国で規制強化の動きが進んでいます。

フランスでは、2025年に成立した法律(第2025-188号)に基づき、2026年1月1日からPFASを含む一部製品の製造・輸入・輸出・販売が禁止されました。規制対象には、化粧品、スキー用ワックス、衣類、靴、防水剤などが含まれています。ただし、消防士や軍関係者などが使用する防護服や保護靴など、安全確保に不可欠な一部製品については例外が設けられています(参照元:フランス経済・財務省)。

売れ残った衣類を“捨てさせない”仕組み

フランスでは、「作りすぎた商品を簡単に捨てない」ための制度づくりも進められてきました。代表的なのが、売れ残り製品の廃棄を禁止する法律です。

2020年に施行された「反廃棄・循環経済法(AGEC法)」では、売れ残った衣類や日用品などを企業が廃棄することを原則禁止しました。企業には、寄付やリサイクル、再利用などが求められます(参照元:フランス経済・財務省)。

以前は、ブランド価値維持などを理由に新品衣類が大量に廃棄されるケースもありました。しかしこの法律によって、「売れ残ったら捨てる」という構造そのものを見直そうとしているのです。

超ファストファッションへの強い警戒感

“ウルトラファストファッション”に対しても動きがあります。

2025年6月、フランス上院はウルトラファストファッションを対象とした規制法案を可決しました。法案には、環境負荷に応じた課徴金や広告規制などが盛り込まれています。一方で、法案はその後、EU法との整合性に関する審査や調整が続いており、2026年時点では最終的な成立・施行には至っていません。

2025年、パリでウルトラファストファッション企業の世界初となる常設店がオープンした際は、開店前から長蛇の列ができるなど高い集客力を見せた一方で、店舗前では環境負荷や労働問題を懸念する市民や政治家による抗議活動も行われました。

つまり、持続可能性を重視する政策と消費者行動との間に隔たりもうかがえます。

ファッションと環境の両立

フランスは、ファッションを文化や産業として大切にしながらも、その環境負荷に正面から向き合おうとしている国の一つです。PFAS規制や売れ残り商品の廃棄禁止、ウルトラファストファッションをめぐる議論などからは、「作る・売る・捨てる」という従来の仕組みを見直そうとする姿勢がうかがえます。

一方で、低価格な商品を求める消費者の需要は依然として大きく、持続可能性を重視する政策と実際の消費行動との間には課題も残されています。だからこそフランスでは、企業や消費者の自主性に任せるだけでなく、法律や制度を通じて社会全体の変化を後押ししようとしているのです。

ファッションと環境の両立に明確な正解はありません。しかし、環境負荷を可視化し、循環型の仕組みづくりを進めるフランスの取り組みは、これからのファッションのあり方を考える上で多くの示唆を与えてくれるでしょう。


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