「生物多様性が重要なのは分かる。でも、何から手をつければいいのか分からない」
そんな状態で止まっていませんか?
5月22日は「国際生物多様性の日」。このタイミングで、生物多様性への取り組みを検討し始める企業も増えています。2023年には TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の最終提言が公表され、ネイチャーポジティブへの関心も高まりつつあります。
一方で、情報が不足しているというより、「どう進めればいいのか」が見えづらいと感じている企業も多いように感じます。特に生物多様性は、気候変動と比べて自社との関係が見えにくいテーマです。CO₂排出量のように数値化しやすい指標があるわけではなく、自然への依存や影響は、サプライチェーンの深い部分に存在していることも少なくありません。
だからこそ、「まず何から整理するか」が、最初の重要なポイントになります。
多くの企業が動き出しにくい理由
生物多様性対応が進みにくい背景には、いくつか共通する課題があります。
まず、「自社との関係が分からない」という点です。生物多様性という言葉から、森林保全や海洋保護をイメージし、自社事業とは距離を感じてしまうケースがあります。ただ実際には、多くの企業が、水資源や土地利用、原材料調達などを通じて自然と関わっています。
また、「データがない」「測れない」という不安もあります。CO₂のような統一指標が少ないため、「まずは詳細なデータ収集が必要」と考えてしまいがちです。ただ、初期段階では精緻な分析よりも、全体像を把握することの方が重要になる場合もあります。
さらに、社内で優先順位が上がりづらいという課題もあります。環境テーマを経営リスクや事業機会として整理できないと、社内での議論につながりにくくなることがあります。
こうした状況では、完璧な計画を立てるよりも、まずは小さく整理を始めることが、前に進むきっかけになるかもしれません。
企業が最初に取り組みたい3つのステップ
1. 自社と自然との関係を整理する
最初のステップは、「自社のどこが自然と関わっているか」を整理することです。まずはバリューチェーン全体を俯瞰しながら、「どこで自然に依存しているか」と「どこで自然へ影響を与えているか」を洗い出していきます。
例えば、食品業界であれば農業調達地域、製造業であれば工場周辺の水資源など、事業特性に応じて対象を絞ることで、整理しやすくなります。最初から全社・全領域を対象にする必要はありません。
2. 自然との関係をビジネス視点で捉え直す
次に、整理した内容を「ビジネスへの影響」として読み替えます。たとえば、「特定地域の水資源に依存している」という状態は、「渇水時の供給停止リスク」として捉えられるかもしれません。
環境課題を、調達リスク・規制対応・ブランド価値といった経営視点に変換することで、社内でも議論しやすくなります。
生物多様性対応を環境部門だけのテーマにせず、事業や経営との接続で考えることが、次のアクションにつながりやすくなります。
3. 既存業務に組み込む
最後は、それらを既存業務へ組み込む段階です。新しい取り組みをゼロから立ち上げるというより、既存の調達基準や環境方針、サステナビリティ施策に、生物多様性の視点を加えていくイメージに近いかもしれません。
「持続可能な調達比率」や「水リスク評価実施率」など、既存施策と接続しやすい形で指標化することで、実務にも落とし込みやすくなります。
また、調達・製造・サステナビリティ部門など、それぞれの役割を整理しながら進めることで、無理のない形で社内展開につなげやすくなります。
小さく始めることが、最初の前進になる
生物多様性対応は、最初から全社規模で進める必要はありません。
特定の事業や製品ライン、調達品目に絞って試行するだけでも、自社に合った進め方が見えてくることがあります。また、既存のCSRレポートや調達ガイドラインを見直すだけでも、自然との接点が見えてくるケースは少なくありません。
重要なのは、「完璧に整理してから動く」ではなく、「整理しながら少しずつ動く」という進め方です。
生物多様性対応は、これまでの経営や環境活動と切り離された特別なテーマではなく、既存の取り組みを少し広げながら考えていける領域でもあります。
まずは、自社のバリューチェーンの中で、「どこが自然と関わっているか」を書き出してみる。そこから始めるだけでも、次のアクションにつながるヒントが見えてくるかもしれません。
生物多様性対応の「最初の一歩」を支援します
- 自社と生物多様性の関係を整理したいが、どこから始めれば良いか分からない
- TNFDや開示対応を見据えて、まず何をすべきか整理したい
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