「企業がサステイナブルな未来への道を切り開くには?」のアイキャッチ画像

share

企業がサステイナブルな未来への道を切り開くには?

   

最近、SDGs、ESG、脱炭素経営、サーキュラー・エコノミーなどの言葉を見聞きする機会が増えてきましたでしょう?世界中で多くの企業組織も環境や社会問題についての議論を積極的に行うようになっています。ここ数年進んでいるデジタル・トランスフォーメーション(DX)に続き、サステイナブル・トランスフォーメーション(SX)という経営手法も徐々に注目され始めています。

本記事では、やや漠然とした概念である「サステイナビリティ」について少し簡単に説明します。また、いくつか具体的な事例を提示します。最後に、自社のビジネスを抜本的にサステナブルなものに変革したいけど「何をどこからやるべき?」「利益はどうなる?」といった疑問を持っている方々に、SX先進国オランダの第一線で活躍するエクセプト社が開発したサステイナブル戦略ガイドの設計手法である『Symbiosis in Development (SiD)』を紹介します。

持続可能な開発、サステイナビリティ、SDGsとは?

サステナビリティに関して、ESG、SDGs、CSRなどよく似た用語がいくつもあって混乱している人もいるでしょう?ここで代表的な用語について、定義を確認しておこう。

まず、持続可能な開発の定義とは何でしょうか。最もよく引用されるのは、1987年に環境と開発に関する世界委員会(通称ブルントラント委員会)より発表された報告書『Our Common Future(邦題:我ら共有の未来)』の内容です。

将来の世代が自らのニーズを充足する能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすような開発

つまり持続可能な開発とは、これまでの人間の自己中心的な環境の扱い方や資源の利用の仕方を反省する手段なのです。特に社会的・経済的な面での人間の発展は、自然との調和がとれる限り広い可能性があります。環境保護は開発や経済の発展を許さないわけではなく、環境保育と発展の間に良いバランスを見出すことを試みているのです。

他にもよく引用される定義をいくつかご紹介しましょう。

A process of change in which the exploitation of resources, the direction of investments, the orientation of technological development, and institutional change are all in harmony and enhance both current and future potential to meet human needs and aspirations.

資源の開発、投資の方向性、技術開発の方向性、制度の変化などがすべて調和し、人間のニーズや願望を満たすために現在および将来の可能性を高めるような変化のプロセスのこと。

The World Commission on Environment and Development

Sustainable development is a dynamic process that enables people to realize their potential and improve their quality of life in ways that simultaneously protect and enhance the earth’s life support systems.

持続可能な開発とは、地球の生命維持システムを保護・強化すると同時に、人々が自らの可能性を実現し、生活の質を向上させることを可能にするダイナミックなプロセスのことです。

Forum for the Future

サステイナビリティ」との違いとは?

サステイナビリティ」は、環境・社会価値を維持または向上させながら、経済成長が実現されている状態を指す。 この概念は、環境の持続可能性だけでなく、地球上の天然資源や、将来の世代のニーズを損なうことなく現代の経済・社会のニーズを満たす経済的・社会的な持続可能性も含んでいます。

筆者自身も共感している、SX先進国オランダの第一線で活躍するエクセプト社の定義をご紹介します。

Sustainability is the state of a complex, dynamic system. In this state, a system can continue to flourish resiliently, in harmony, without requiring inputs from outside its system boundaries.

サステイナビリティとは、複雑でダイナミックなシステムの状態のことです。この状態では、システムは、その境界の外からのインプット(例えばエネルギーや資源など)を必要とすることなく、調和の元に復元性を持って繁栄し続けることができます。


Tom Bosschaert, Symbiosis in Development, Except Integrated Sustainability

一方持続可能な開発とは、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、長期的な経済的福利と生活の質を向上させるプロセスを意味します。

つまり、サステイナビリティは長期的な目標や状態として考えられることが多く、持続可能な開発はそれを達成するための様々なプロセスや方法(例:サステイナブルな農林業、サステイナブルな生産と消費、善良な政府、研究と技術移転、教育や訓練など)を指しています。

New call-to-action

今話題のSDGsとは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標」のことを言います。

従来型の経済成長において生じる問題を解決し、持続可能な社会を創造するため、、国連が定めた2030年まで世界規模の持続可能な開発のための目標で、17のゴール(目標)とそれをさらに具体化した数値目標を含む169のターゲットから構成されています。

なお、現在のSDGsは2000年の国連サミットで合意されたMDGs(ミレニアム開発目標)の後継です。2012年当時、2015年向けに期限を迎えるMDGsのためブラジル・リオで開催された国連地球サミットでは、MDGsに代わる今後15年間(2016年~2030年)の主要な開発アジェンダとしてSDGsを採用することが全会一致で決定され、2015年9月にSDGsが正式に採択されました。

MDGsからSDGsへと変わり、目標の数は2倍以上に増えました。SDGsでは当初のMDGsの方向性を引き継ぐだけでなく、焦点を当てる課題についても調整し、持続可能性における普遍性、統合と多様性、社会全体の変革などの概念や課題についての考え方を広げています。

なぜサステイナブル・トランスフォーメーションに注目すべきなのでしょうか

皆さんは、「惑星限界」理論をご存知でしょうか?

「惑星限界」は2009年、スウェーデンの著名な環境学者ヨハン・ロックストロム氏を含む28人の科学者が提唱した理論であり、人類が生存できる安全な活動領域とその限界点を定義する概念である。惑星限界は、安全域や程度を示す限界値を有する9つのプロセスを定めていて、人間活動が許容範囲を超えると、地球のシステムは未知の領域に入り、大きな変化がもたらされ取り返しのつかない結果になるとしています。

現在、正常な機能を維持するための地球の限界を示す9つの分野のうち4つが、現在過負荷であると指摘しています。具体的には生物多様性、気候変動、土を指します。他の5つの分野も、わずか数年で大きく臨界値に近づいています。

そして新型コロナウイルスの流行により、世界各国が気候変動と持続可能な開発の緊急性を認識し、それに応じた行動をとるようになりました。 今年5月には日本の国会でも、菅義偉首相が発表した公約「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」を、地球温暖化対策推進法の改正案に正式に盛り込み、全会一致で可決しました。

またESG投資の発展に伴い、気候変動に関連する組織の情報開示や目標設定など、「脱炭素経営」に参加する企業が増えてきています。政府機関、NGO、そして多くの多国籍企業が、持続可能性の目標を達成するために既に行動を起こしています。

2021年1月、世界の200社以上の企業が参加するグローバル組織CECP(Chief Executives for Corporate Purpose)が発表された報告『Global Impact at Scale: 2020 Corporate Action on ESG Issues and Social Investments』によると、81%の企業がSDGsを事業戦略やルーチンに組み込んでおり、78%の企業が上級管理職向けの事業開発報告書にSDGsを盛り込んでいます。また、168社のうち19%の企業が、複数のSDGs目標に対して具体的な定量目標を設定しています。

今後、企業がサステイナブルなビジネスへの転換を成功させられるかどうかは、事業存続の必須条件になるでしょう!さて、続きは具体的なサステイナブル・トランスフォーメーションの事例をご紹介します。

フィリップス社:「Lighting as a Service」ビジネスモデルの変革

サステイナブル・トランスフォーメーションの最も象徴的な例として、フィリップスの事例があります。電球の販売からスタートしたフィリップスは、2011年に「Light as a service」というコンセプトで製品のサービス化に着手し、スキポール空港で実際に使用されている「Pay per Lux」という革新的なサービスを提供しています。

フィリップスは、空港のニーズに合わせて3,700個のLED照明器具と照明機器を設計し、スキポール空港と15年間の照明サービスソリューションのリース契約を結びました。 照明機器の所有権はフィリップスにあり、契約期間中はフィリップスが管理・保守を行い、空港側は毎月固定のサービス料を支払うだけです。また、フィリップスはネットワーク技術を利用して照明機器の稼働状況や消費電力を監視し、故障時にはすぐに修理チームを派遣することで、照明機器を最適なエネルギー効率で維持しています。なお、交換用ランプはフィリップスが直接リサイクルします。

メーカーが製品の所有権を取り戻すと、企業の行動が変わります。フィリップスは、契約期間中の製品の修理や交換のコストをできるだけ低く抑えたいと考えています。そのため、製品をより頑丈かつ分解や修理がしやすいように設計する必要があるのです。収益源は、大量生産による粗利益から、毎月固定のサービス料でお客様にサービスを提供するという価値観に変わってきました。 これにより、企業はより良い製品を設計し、修理費用を削減することができます。

フィリップスが照明の管理・補修を行うことで、スキポール空港の電力消費量は半分になり、電気代の節約と二酸化炭素排出量の削減につながりました。 つまり、より良い製品やサービスをより少ない費用で提供することができるのです。

これまでの単発の販売・購入は、「壊れたら新しいものを買いに来てくれるだろう」という期待がありました。 しかし、ビジネスモデルの変化により、各社は短期的な利益を追求するのではなく、機器やサービスの質の向上、より効率的な照明技術の開発など、「長い目で見て儲ける」ことを重視するようになった。お客様とサービスプロバイダーは、1回限りの取引から生涯にわたるパートナーシップへと移行することができます。

IKEA : より良い IKEA カタログー世界の印刷業界を変える

もう一つ良い事例は、サステイナブルなビジネス変革を創始した企業の1つにIKEAがあります。実際、サステイナビリティは既にIKEAのコアバリューとなっています。例えば、いくつ具体的な取り組みは食品に含まれる植物性食品の割合を増やしたり、リサイクルや修復を IKEA が担当する「家具レンタル」サービスを導入することで、家具の寿命を延ばすだけでなく、原材料の消費量を減らし、直線的な販売モデルを崩して循環型経済を発展させているのです。

また、この価値観は自社の製品設計やビジネスモデルの変更に反映されるだけでなく、関連業界やサプライチェーンにも影響が及んでいます。

IKEAのカタログを受動的または能動的に受け取った経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。実はこれらのカタログは、年間2億部以上印刷され、紙製品としては世界最大級の年間印刷部数を誇っています。

IKEAでは、サステイナビリティ・コンサルタントの Except の協力を得て、彼がが『Symbiosis in Development (SiD)』フレームワークを基づいて、カタログの制作プロセスを体系的に分析して見直し、既存の情報の活用方法を改善しました。そのほかにも、ビッグデータ分析ツールを導入してバイヤー、サプライヤー、小売業者の環境データ指標を表示することで、製品ライフサイクルの重要なポイントでより適切な判断を下せるようになりました。そうすることで適切なサプライヤーを選択し、カタログのサステイナビリティ・パフォーマンスを向上させることができるようになったのです。

このような取り組みを経たIKEAのカタログは、2014年にFSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)の認証を取得しただけでなく、1冊あたりのCO2排出量が2014年から2016年にかけて28%減少しました。環境フットプリントの少ないサプライヤーを選ぶことで、1冊あたりの印刷のエネルギー消費量も5%削減しました。

この変化による影響は、カタログのライフサイクル全体に及び、エネルギー、廃棄物、水の節約という点で持続可能な大きなメリットを生み出し、初年度から毎年増加しています。またIKEAのカタログは非常にボリュームがあり、制作プロセス全体に関わるステークホルダーの数も多いため、印刷業界全体にもさらなる影響を与えているのです。

最後に

サステイナビリティを達成するために、私たちは何ができるのか? ここまでいくつかの実例をご紹介してきましたが、サステイナビリティの重要性は認識していても、どうやって第一歩を踏み出せばいいのかわからないという方も多いはずです。

私たちのアドバイスは、何よりもまず、業界の専門家の意見やフィードバックに心を開いていただくことです。どうやって始めたらいいかわからない方は、この道を20年間率いてきたオランダのサステイナビリティ・コンサルタント会社「 Except 」が開発したサステイナブル戦略ガイドの設計手法である『Symbiosis in Development (SiD)』を見てみましょう。

SiDを用いることで、サステイナビリティを単なるモノやエネルギーの問題としてではなく、社会・環境・経済・政治などさまざまな側面から多角的に捉えることができます。真にサステイナブルな社会を実現するためには、ときに共栄が難しい複数の分野に同時に取り組んでいくことが欠かせません。ここにこそ、SiDの効果が発揮できるのです。

今回、ニューロマジックはSiDガイドを日本語に翻訳・編集いたしました。無料でダウンロードできますので、ぜひご覧してください!

New call-to-action